けものフレンズを見たよ

★★★★☆

 

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「そりゃそうだろ。」とタイトルから続きそうなぐらいに2017年を代表するアニメとして今後末長く記録されていくだろう、けものフレンズです。

 

僕も内容もさることながら、ムーブメントそれ自体がまどかマギカの時以来に楽しくなってしまい、アニメをほとんど見ない会社の後輩に勧めてフレンズにしたり、アニメをほとんど見ない先輩含めて「フレンズなんだね!」を流行らせたり好き勝手して楽しかったです。

 

そんなことができたのは、各話が動物を通して人間の本質をえぐるような独特の鋭さを持っていたからだと思います。ビーバーとプレーリードッグの話から仕事の進め方を学んだと本気で言っていた友達もいますし「美味しいものを食べてこその人生なのです」というハカセの言葉も全くもって正しいなあと思います。そしてなにより僕はトキの話が好きなんですが、あの話の根底の優しさに救われました。

面白いことに、こういう難民系の雰囲気を持つアニメでいちばん「ありがち」なプロットを持つ「ぺぱぶらいぶ」が「ロッジ」に続いてマイリスト数が少ないんですよ。これって、逆説的にけものフレンズが「ありそうでなかった」独自性のあるプロットでできていたということになりませんか?

実力はあるけれどどこか地味だったたつき監督と廃れたスマホアプリのけものフレンズのキャラが幸福な出会いを果たすことで、このオリジナリティ溢れるアニメができたという幸せな奇跡。

 

けれど、とある事件でたつき監督は解任されてしまいました。その経緯にみんなの思い描く「くろまく」がいたのかどうかもはや僕らには確かめるすべはなくて。ただただ僕は、このアニメという奇跡が2017年限定だったという事実を受け止めるしかないのが、とっても悲しいなあと思います。

クズの本懐を見たよ

★★★★☆

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花火の携帯電話の麦からの着信画像は麦畑です。

 

モテキとかその辺の雰囲気に近いこじれ恋愛を描いた作品。彼氏の部屋で一緒に寝ててふと抜いてあげるみたいな絶妙なリアリティは性に奔放な少女漫画(NANAみたいな)が大丈夫な人でも苦手なひとは苦手かも。僕の友人の中には全くダメな人もいました。

 

まっすぐな男教師に恋い焦がれる花火とその先生がすきな魔性の女教師が好きな麦がその代替品をお互い求めて付き合うというあらすじからこじれまくっているのですが、個人的に花火ちゃんみたいに投げやりで冷たい目をする女の子好きなので僕が麦だったら絶対花火ちゃんをマジで好きになって曖昧な関係が破綻して終わりだなと思ったり。まあ、普通に登場人物は魅力的なのです。

 

そしてここからひどくネタバレなのですが、魔性の女教師が普通にまっすぐな男教師のまっすぐさにやられてくっついて幸せになってしまうのは、関係性がこじれきった結果なのだろうなと納得しつつ、煮え切らなかったです。「私、むっちゃ浮気するよ」とか平然と言う女教師の真意を理解せず、表層の可愛さだけにまっすぐ向かう人が結果間違えてその人を手に入れてしまうのは大層な皮肉だなあ、と。

 

今久しぶりに思い返してもうんざりする結末ではあるのですが、多分僕こういう捻くれた女の子がピックアップされる話が好きなんだと思います。ロックソングのパロディを各話タイトルにするセンス然り、作者と音楽性が似ているんでしょうね。はあ。

 

この作品が好きな人がどこを好きでこの作品を見ているかは、とても気になるところです。

Fate/Apocrypha を見たよ

★★★☆☆

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「神々の王の慈悲を知れ」

 

22話と23話の作画は思わず奈須きのこ氏が褒め称えるブログを書くぐらいの圧巻の出来。荒い線をあえて使い、動に極端に依っていて英雄が槍や剣からビームを出す事を全く恥ずかしがらず真正面から描いた作画には、ものすごい濃密さと本気度を感じ、A1 Picturesが決して「ufotableが作れない時の補欠」ではない事を示したように思えます。

 

しかし物語そのものの薄さはやはり目につきました。ここは作画ではカバーできない部分か。Fate特有の仄暗い感じがないのも相まって「あーアストルフォとジャンヌかわいいなー」と流し見できるゆるい感じになってしまった事は否めません。

 

最初にジークフリートが主人公を身を挺して助けるところから本筋が始まるのですが、そこが残念ながら説明不足で「どうして助けたのか」の必然性に欠けて深みを感じなかったのがとても痛かった。登場人物が多すぎるというよりは、単純に登場人物に深みを持たせる物語の付け方が弱いと感じ、全体的に物語のほうをもう少し頑張ってもらいたいなあと思ってしまいました。

少女終末旅行を見たよ

★★★★☆

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個人的にはノッツさんの漫画を思い出す絵柄。

 

2017年は人が滅んだ後の世界を描くアニメが目立っていた気がする。けものフレンズもそうだし、宝石の国もそうだ。これらの共通点は終末感を使って人間の本質を鮮やかに描き出して行くところにある。動物や宝石を人に似せることで、人間っぽいけど人間ではない何かを浮かび上がらせたりする。

 

少女終末旅行はその中で最も直球で、しっかりと人間が戦争的なにかで滅んでおり、それを直接的に描写するシーンもちらほらある。その中でほのぼの少女二人が哲学をするという仕掛けである。ぽろっと、主におばかキャラのユーリ側が、一言ものすごく本質を突くような台詞を言うのだ。

 

この「てつがく」が刺さるかどうかが、このアニメの感想を大きく左右するのだけれど、僕に限って言えば「ふーん」となる回もあれば馬鹿みたいに刺さりまくる回もあった。特に機械とコラボする9話「生命」と音楽の本質を問う10話「波長」は刺さりまくった。ユーリの一言ではっと視野が広がるような感覚は本当に素晴らしい。

 

音楽と映像がその一点にピークを迎えるように集中する作りは初期の新海誠にも近いかもしれない。

 

ただ、極度にデフォルメされた女の子と寂しい風景は人によってはセンチメンタル過剰すぎて受け付けられなかったり、もしくはだるかったりするかもしれない。僕も回によってはだるく感じたりするのでこの点数である。

ただ、「波長」の盛り上がりは今も心に余韻が残って思い出すと泣きそうになる。そんなアニメ。

 

ついでに、こころりPさんのミクとコラボ同人もおすすめ。機械と終末は僕が最も弱い組み合わせなのに、ミクちゃんなんてでてきたら……。

seiga.nicovideo.jp

ロクでなし魔術講師と禁忌教典をみたよ

★★★☆☆

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金髪の方が正妻枠で白髪はツンデレ

 

ライトノベルの激しいテンプレ化は裏を返せば、テンプレートの中でいかに唯一無二の個性を一つだけでも入れられるかという激しい戦いであり、その点でこの作品の特異な点は……おっと。冴えカノと同じ導入になってしまった。弟が賞をとった同期であり、主題歌はボカロ時代から知るヒゲドライバーさんが作曲、ゆよゆっぺさんが編曲となんだか妙に縁のあるこの作品の売りは、完成度の高い魔法の体系化とGTO的要素にあります。

特に一話二話の導入は素晴らしく、一見クズな先生がひょんなことからやる気になって、暗記ばかりの魔法の授業の本質に組み込んでいくシーンは一見の価値あり。「魔法は究極の自己暗示」から発想を広げて詠唱をプログラミングのように扱った発想はやはり素晴らしく、ニコニコ動画のコメントでも「覇権か?」なんて囁かれていたりしました。

しかし、そこからがちょっと弱かった。回を増すごとに存在感を増す特異点加藤恵と比較すると、だんだんその特異性が薄れていき、最終的にはテンプレ魔法アニメの枠に戻ってしまった感も。アニメ化することで、話を綺麗に詰め込むためか上記の魔法の体系化という要素がどんどん省略されてしまったのもそれに拍車をかけている。GTO的要素が古臭さという方向に働いてしまったのもマイナスかなー。というわけで星は三つ。

モブの生徒にも面白い個性があったり、いい点は多々あるので、個人的には古典魔法ラノベよりはハリーポッター的に学園生活をもっとピックアップする方向に向かって欲しかったです。

異世界はスマートフォンとともに。 を見たよ

★★★☆☆

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この雑なハーレム感が売り。

 

虚無がすごい。時代考証とか世界観設定とか独自のキャラ造形とか、そういうのすべてサボってみんなが期待しているシーンをつまみ食いだけしてできた作品。主人公など最たるもので、作者が転がしたい話に応じて、ある時は冷酷にある時はラッキースケベを狙うエロキャラにと二転三転しパーソナリティが定まらないところで一貫している。
しかし、さすがにここまでやりきった作品は珍しく、なんというかそれが不思議なゆるい空気を生み出しており、それがオリジナリティになっている気がしなくもない。

 

この内容の薄さを「読者(視聴者)に一切のストレスを与えない」まで昇華するとToLOVEるの原作になるのですが、そこまで突き抜けたエロもなく読者はストレスを感じているので、これはその域には達していない。いないのだけれど、アニメ化はしちゃった。なんだろう、やはり虚無。こういう作品が出てくると、そろそろ「なろう系」の衰退を感じたりする。

 

ギャグにするにはテンポが足りない。
エロにするにはラッキースケベが足りない。
バトルにするには設定が足りない。
たまに(4話と11話おすすめ)面白い。
不思議な不思議なアニメ。まるで将棋だな。

スター・ウォーズ/最後のジェダイを見たよ

Yahoo映画に感想書いたよ

二面性を前面に出しつつ根本が情熱的な傑作 スター・ウォーズ/最後のジェダイ - Yahoo!映画

https://movies.yahoo.co.jp/movie/360445/review/7174/