やはりフジロックは特別だな、というのを一日目に入場ゲートをくぐった時になんとなく思った。山の綺麗な空気を吸い込んでかすかに聞こえる Green Stage の音楽に胸の高鳴りを感じる。ここは特別、とは様々なアーティストが口にしていた。「出演者だけが渡ることができる小さい橋」について語った ELLEGARDEN の細美さん、「まるで家みたい」と語ったクラムボンのミトさん、「音楽が好きな人がこんな山の奥でフェスをしてるってことが愛おしい」と語ったクラムボンの原田さん、「グラストンベリーより規模が小さいのがいいね」とインタビューで答えた The Chemical Brothers 。Superfly もこのフェスの特別さには感じ入るところがあるみたいで「良い緊張感がある」と評していた。
僕が中学生の頃天体観測に衝撃を受けてから何年が経ったかはよく分からないけれど、BUMP OF CHICKENは、変わらずにイマというほうき星を追いかけていて、僕の音楽的嗜好は変わってど真ん中はレディオヘッドやらもう少し小難しい感じになったけれどそれでも目をそらすことができないでいる、ずっと好きでいつづけられる、そんな稀有なアーティストである。
BUMP OF CHICKENのコミュニケーションは鏡から始まる。Smileという曲の歌詞をいまだに僕は覚えている。東日本大震災でいろんなアーティストがいろんな曲を歌って、僕はBUMP OF CHICKENがどんな歌を歌うのか気になっていた。彼らは決して軽はずみな希望を歌わない。好きな人や待っている人を失った人もいる。そんな時彼らは鏡の向こうに立った自分についての歌を歌ったのだ。自分を鏡に映して、笑ってみる姿を歌ったのだ。いつまでも忘れらない。
butterflies も素晴らしいアルバムだったが、バンプのアルバムで素晴らしくないアルバムはこれまで聞いたことはないが、それはそれとして、最高傑作とはいえないかな、とは思っていたが、今回、バンドサウンドがあくまでメインに据えられたことの収まりの良さも含めて音楽も歌詞も過去最高の切れ味を示している気がしている。これはBUMP OF CHICKENの新たな金字塔になる気がしている。流れ星の正体を僕らは知っている。僕もバンプもお互い年を取っても受け取る気持ちは熱は何も変わらない。BUMP OF CHICKENと迷い続けられる贅沢な世代であることが何より嬉しくて泣きそうだ。ホントに。