なんだか昨日、意味もなく嫌な気分に苛まれて、あんまりちゃんと聞いてなかったこれを「今の気分にあいそう・・・」と、聞いてみる。
そんなふうに、静かな夜に、いいステレオでじっくり聴いたとき、この作品からミニマルでアンビエントに通じるものを感じ取れた気がしたんです。ベッドに座って、部屋を暗くして、ヘッドホンで聞くのも悪くない音楽なんじゃないかと。もうそう思ったら、そう気づいたら、そう感じたら、自分の好み直球ど真ん中。もしかして新作より気に入ったかも。今頃になって。
特に好きな曲は、単調だが美しいピアノ、ダンスライクなリズム、徐々に重なるノイズ・・・と、「loveless/My Bloody Valentine」に収録の『soon』を彷彿とさせる『LA MER』*1や、FRAGILEには珍しい直球industrial heavy metalの『STARFUCKERS,INC』*2 。（サビの削岩機のようなビートは、underworldの『Born Slippy Nuxx』を彷彿とさせます）何より僕がNINで一番好きかも知れない『THE GREAT BELOW』*3が挙げられます。 これは最終曲定番のバラード。枯れたオーケストラって感じの音像で、トレントの痛いほど孤独と弱さを感じさせる歌声は心にきます。NINのバラードといえばやっぱり『HURT』が有名だと思いますが・・・誰か俺みたいに『HURT』よりむしろ『THE GREAT BELOW』って人いないかな。少数派だろうな。
ここで鳴るギターは、歪められ、また歪められ、もうテレビの砂浜のザーってノイズ寸前。ほとんど展開せず、ただトレントからリスナーを遮断していくように重ねられていく音によって成り立っていく曲たち。奥のほうでひっそりと鳴る、不安を煽るようなシンセ。もう完全に病気な人にしか作れないような曲が、しかも二枚組み。売れてほしいけど、やっぱり売れるわけがない。全米第一位からすぐランク落ちたのも納得。もうきっとトレントさん自身にも、こんなアルバム作れないだろうな。作らないのかも。
ところで、余談ですが、「俺MARILYN MANSON好きなんだよね」って聞くとついNINを薦めたくなりませんか？そんでたいていその人はNIN知らないし、薦めた自分も「NINとMARILYN MANSONって全然似てないわ、やっぱ。」と思い直してなえる、と。
むしろ「俺Aphex TwinのAmbient Works好きなんだよね」または「俺RADIOHEADでは『KID A』が一番だわ」っていう人になら自信を持って「NINっていいよ。多分君が一番好きなのはこれだな」と言って、「FRAGILE」を渡せるんだろうな。
