風の歌を聴け/村上春樹

風の歌を聴け
やわらかい午後の光。大学の教室内。つまらない講義と顔を伏せて眠る人たち。
こんな環境で読むのが最高にあうような気がしました。
まるで散文詩のように、脈絡なく、思いのままにつづられていく文章。それらは一見つながりのないように見えて、アンニュイな空気と冷めた温度という共通点で、そこはかとなくつながっている。そのせいか、穏やかな風に揺られているような心地よさの中、さらさらと、いつのまにか読み終わっている、そんな小説でした。
 
村上さんは処女作のこの小説から、魅力的な女性を書くのがうまいんだなあ。一度でいいから俺は、女の子と、村上さんの小説に出てくるような、厭世的で、優美で、皮肉たっぷりで、理知的な会話をしてみたいです。
 
しかし、こんな異端な小説が処女作とは・・・凄い。

 
ところで、僕が電車の中でこの小説を読んでいたら、目の前の女性も同じの(彼女は文庫版でしたが)を読んでいてびっくりしたことがあります。運命を感じたり、感じなかったり。
・・・感じなかったけど。