And The Glass Handed Kites/Mew

& The Glass Handed Kites (Dig)
共食いジャケット・・・気持ち悪いけどさ。


というわけで、Mewの2ndです。内容は、メンバーがいろんな雑誌で語っているように、「プログレチック」で、1stより「ダーク」な世界観のアルバムになってます。「プログレ」というと、一応僕でもpink floydや、yesが一番に思い浮かぶんですが、まだまだ「狂気」や「原子心母」ぐらいしか聞いたことが無いんですよね。だから、このアルバムを初めて聞いたときは僕が思い浮かべたのはMansunの「Six」でした。(Mansunの「Six」も面白いアルバムなので、機会が会ったらぜひ)


まあ、でもよくよく聞いてみると、「Six」ほどぶっとんではないです。これは、一曲一曲をつなぐ部分に凝ることで、アルバムを一個の大きな曲にしてしまう・・・というアルバムですね。そういう意味では、一曲に様々な小さな曲を詰め込んで、強引に聞かせる「Six」とは正反対かも。


だから、聞き込めば意外とポップなアルバムです。そして何より曲同士のつなぎの部分が凄く秀逸(僕がこのアルバムで一番好きな部分は「Apocalypso」〜「Special」のつなぎの、荒々しいドラムが鳴り響く部分)。つまり、休む暇なく隅から隅までMew独特の世界観を味わえる、贅沢なアルバム。もちろん「思いっきりかき鳴らされるシューゲイザーチックなギターを、耽美的なシンセとヨーナスの美声で優しく包んで、暴力的またはノイジーに聞こえさせない」・・・というMew独特の手法は、随所に感じられるので、1stで気に入った人も離れることは無いんじゃないかな。悪夢、っていう世界観で統一されてるのもいい感じ(ゲストのJ.マスキスのヴォーカルとか、まさにふいに来る悪夢って感じです)。最終曲「Louise Louisa」で、少しSigur Rosを思わせる、ドラムソロが鳴り響いたあと、ヨーナスが寂しそうな、振り絞るような声で「一緒にいてくれ 独りになりたくないんだ」と歌い終えるとき、僕は「はっ」と目が覚めるような感覚に襲われます。


特に気に入ってるのは「Fox Cub」から「The Zookeeper's Boy」までの流れ。「Fox Cub」の浮遊感からだんだんテンポが上がっていき・・・ 「Apocalypso」の掻き毟るような格好いいギターと情熱的なヴォーカル・・・そして最高に格好いいつなぎの部分をへて、四つ打ち風味のドラムと、リズミカルなベースに、妖しいギターが絡みつく「Special」・・・そして今度はシンセが印象的でロマンチックなつなぎを挟み、ヨーナスの美声が幾重にも重なる、アルバム中最もドリーミーな「The Zookeeper's Boy」!!もうお腹いっぱいです。


ただ、ちょっと不満も。サウンドに凝った分、メロディが薄味であることと、最後がちょっとくどいこと。「White Lips Kissed」・・・この曲、アレンジがちょっと大げさすぎないかな?もう少し、アレンジをシンプルにしてメロディに凝って欲しかったな。そのあとの「Louise Louisa」も重い曲だから、こう二連発で聞くとね・・・ちょっと疲れる。「Louise Louisa」の後半なんて、シンセとヨーナスの声だけでぐっと来るんだし、もう少しシンプルな音の、短めな曲が「White Lips Kissed」のかわりにあれば良かったのに、と個人的には思います。


あ、でもボーナストラックの「White Lips Kissed」の日本語ヴァージョンは、なんか凄く良いです。英語より良いかも・・・しかしヨーナス日本語うまいな。New Orderの日本語ヴァージョンと違って、笑いを堪えずに聞けます。だから日本盤がオススメです。