First Impressions of Earth/The Strokes

ファースト・インプレッションズ・オブ・アース
「Juicebox」を公式サイトで聞いて、ジュリアンが初めて喉を解放して歌っていることに、衝撃を受け、かつ最後のふっとメロディを下げるところ(といえば伝わるかな)に心をぐっとつかまれて、買うことを決意した、このアルバム。


素晴らしいです。もう今年のBEST3有力候補!!


Strokesっていうのは、もともと僕にとって不思議なバンドなんです。王道のロックを奏でているとしか思えないのに、ひねくれたロックが好きな、僕が「一聴して」素晴らしいと思ったバンド。なんというか、このバンドのアルバムは、いつも頭でっかちで、かつ冷めているところが感じられるんですよね。それはメロディとか、ジュリアンのヴォーカルとか単純な話じゃなくて、全体的な感触として。


例えば「Juicebox」の後半で、ジュリアンの、大声でがなったあとに「あ、頑張りすぎた」ってふっと我に返って力を抜いてしまう感じだったり。「Vision of Division」でいきなり挿入される「民族系?」っていうような妖しいギターの早弾きだったり。「Fear of Sleep」の力の抜けた伴奏に似合わない、熱のこもりすぎたヴォーカルだったり。「Ize of the World」のしつこいくらいのアルペジオの中で、あえて同じメロディを歌い続けるヴォーカルだったり・・・


衝動から生まれたとは思えない、頭の中でこねくり回してこねくり回して、やっと生まれたと思われる、不思議な高揚感を持つ部分。メロディだってリズムだって素晴らしいけど、そのどちらでもないところで、僕の心を惹きつける。きっと衝動だけがロックンロールではないんだ・・・そんなふうにStrokesの音楽(特に2nd、3rd)を聞くと思います。2nd、3rdとこういったアルバムをだしたStrokesはもう「ロックンロール・リヴァイヴァル」とかそういう地平に立っているバンドではないんじゃないかな。「もう模倣しか残されていない」とか言われているロック。でもジュリアンの目には、「その先」が見えてるんじゃないだろうか。ギター、ドラム、ベース、ヴォーカルだけで構成されていて、それでいて今まで誰も奏でたことのない新しい音楽が。


2ndは僕にとって音の気持ちよさを追求したアルバムだった。3rdで変わったのは、それだけでなく、本当にいろいろな要素が、曲に組み込まれているところ。それは上にあげた高揚感を得る部分だったり、アルペジオの多用だったり、「Ask Me Anything」でいきなりあるメロトロンの弾き語りだったり、そういうところにあらわれている気がする。まとめて言葉にすることはできないけれど、しかし確実に言える事は、このアルバムには新しいロックンロールの「予感」と、眩しさが溢れているということ。それに本当にゾクゾクさせられます。


いったいStrokesはどこにたどり着くのか。このアルバムを聞きながらじっくりと待つことにします。