ZAZEN BOYSⅢ/ZAZEN BOYS

ZAZEN BOYSIII
オリコンデイリー初登場5位。日本のロックシーンは、今じわじわと動き出してる。


というわけで、ザゼンの新作。いろんな意味で凄いです。もう、「Ⅰ」「Ⅱ」の面影すらない。「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」をさらに突き詰めちゃった感じ。まずこれまで以上に鋭角的で、金属的です。むしろNUMBER GIRL時代から、向井さんは「鋭い音」を目指してやってきたと思うんですが、それでもまだびっくりするぐらいソリッド。これはもうドラムの音を聞けばすぐ分かるはずです。


そのドラムですが、松下さんは、本当にかっちりしたリズムを叩きますね。崩す部分も、アヒトのようにうねる生き物のようなフリーキーさは感じさせず、音の足し算、引き算で魅せているような。自由に叩かせると、アヒトのが格好良いですけど、このアルバムが目指しているモノを思うと、交代は必然だったといえるかもしれません。


そして、シンセの挿入によって演出されたこのアルバムの雰囲気は「夜」。これらの要素とあまりにも自由な楽器群、と無音(音の隙間)の多用が、僕にとってロックというよりむしろフリージャズを思わせました。事実、向井さんも一曲目で、「ジョン・コルトレーン」の名前を出しています。真意は分かりませんが。ジャズ・・・そう、このアルバムは結構オシャレな雰囲気すらもっています。


まあそういうわけで、分かりやすいロック的高揚感がない、即効性のないアルバムではあります。けれど、それを補って余りある中毒性が。とっつきにくくて、初めて聞いたときは、苦言を呈したんですが、これは最高傑作では?とりあえず、通して聞けるザゼンのアルバムってコレがはじめてです。


人気曲は「This is NORANEKO」とか「RIFF MAN」ですかね。僕もこの二曲は好きです。ソリッドなリフに切られますね。「This is NORANEKO」とか、無戒とノラネコが本気で戦ってるかのような、臨場感がある。他は・・・「METAL FICTION」は聞き込んだ今でも、やりすぎだと思います(笑)。でもライブで聞きたい曲NO.1ですが。「Take Off」の実にカチッとしたドラムも好きだし、「Water Front」のアンニュイな感じもいいですね。


とりあえず、音の隙間を聞いて欲しいアルバムです。最初はイマイチでも、どんどん脳が侵されていきますから安心してください。中毒性凄いです。これにメロディがついたら無敵だって、雑誌の人に言われてたけど、今度はそうやって進化するのかな。わかんない。とりあえず、ライブでこれらの曲を生身で感じるのが、楽しみです。