BUMP OF CHICKEN 2006 TOUR“run rabbit ran”at レインボーホール

セットリスト
01 カルマ
02 stage of the ground
03 アルエ
04 プラネタリウム
05 リリィ
06 メロディーフラッグ
07 ギルド
08 太陽
09 embrace
10 銀河鉄道
11 天体観測
12 ダイヤモンド
13 K
14 fire sign
15 supernova
16 オンリーロンリーグローリー
(encore1)
01 スノースマイル
02 ダンデライオン
(encore2)
01 ガラスのブルース

(↑いろんな人のを見て、こうだったという結論に達したんですけど、「銀河鉄道」の次に「K」が来た気もするしなあ。「これ違うんじゃない?」っていう意見があったら言って欲しいです)






「おはよう、ごめんな、さびしかっただろ?」(「オンリーロンリーグローリー」Live ver.)
うん、僕らは寂しかったんだよ。今まで、バンプに会えなくて。


と、個人的に一番愛着が深く、ファン暦も長いバンドである、BUMP OF CHICKENのライブに、念願叶って行けることになりました。しかも、アリーナのA-2。Zepp Nagoyaで見るぐらいの近さで見ることができて・・・。始まる前から胸は高鳴る。高鳴る。ライブ始まる前に、緊張するなんて、バンプぐらいのものだよ。


そして・・・ライトが消え、The Whoの曲らしきBGMのなかで、バンプのメンバーが入場してくる。ライブとしてはごく普通の演出なのに、胸の高まりが止まらない。隣の友人が「あ、これはやばい」ってふともらす(←人生初ライブ)。


始まりは「カルマ」。これは予想通りかな。心地よい疾走、そして、藤原君の声が直に届いてくることの感動。スクリーンには、モノクロでメンバー一人一人が映る。格好良いなあ、もう。


いきなりの大歓声。そこからはMCを挟まずに、力強いリズムが印象的な「Stage of the ground」、ちょっと切なく疾走する「アルエ」と続いていく。


でもここまではまだまだ序の口だったと思う。個人的に心奪われたのはここから。「プラネタリウム」で夢見心地になったあと・・・聞き覚えのある懐かしい曲のアルペジオ。「リリィ」だ。今まさにスポットライトを浴びて、たくさんの人に見られている藤原君の状況そのままの曲。自分の歌に「嘘つきめ!」といわれてきた自分を包み込む「可愛い人ね」って声。藤原君は、本当に歌詞を大事に歌って、その一つ一つの言葉を届けてくれる。こんなに言葉を大事にするライブは初めてだった。状況が、今目の前で歌ってるバンドの姿にかぶさるように浮かんでくる。思わず潤目になって、友人の方を見ないようにした。


そのあと聞こえてきたギターは「メロディフラッグ」のそれ。やった、聞きたかったんだ。思ったとおり冒頭の「疲れたらちょっとさ そこに座って話そうか」に、また泣きそうになった。こんなにやさしく、立ち止まることを許してくれる曲を僕は知らない。「響く鐘のような ほら」の部分は、タイミングを少し遅らせて、やさしく語りかけるように言葉をつむいでいた。凄い表現力だな・・・と思った。


「ギルド」、「太陽」、「embrace」とここから聞かせる曲が続く。バンプはただ疾走するだけのバンドじゃない。むしろ、バラードが素晴らしい。僕ら観客も、ほとんど身動きせずに、音に全身全霊をもって耳を傾ける。みんな同じ気持ちなんだと思った。
「ギルド」は升君が、あのつるはしみたいな音も出してくれてうれしかった。「太陽」と「embrace」って同じ場面を立場を変えて歌ってるのかもって気付いた。だからつなげて演奏したのかなとも思った。バンプの歌詞は、何度読んでも足りないくらいに深い。


駄目押しはやってくれないと思った「銀河鉄道」。やっぱり冒頭の、アコギと藤原君の声だけで聞かせるところが一番きた。どうして彼は、こんなにもやさしくて、こんなにも寂しそうな声で歌うんだろう。銀河鉄道の主人公と、藤原君がまったくぶれずに重なった。胸が締め付けられてどうしようもない気持ちになった。


ここらへんの曲間で、やっと少ししゃべったかな。いろんなところでも言われてるけど、僕もあえて言います。黄色い声援にぼそっと「聞こえてるよ」って返した藤原君。格好いいなあ、もう。俺までちょっとドキドキしたよ(笑)。格好つけた一言かもしれないけど、突き放した感じと、やさしさが両立した絶妙な距離感をもったこの一言に、会場の女の子(と一部の男子)は完全にやられました、よね?


そして「天体観測」、「ダイヤモンド」で骨太なロックを聞かせる。そういえば、藤原君は僕らに向けてところどころ歌詞を変えて歌ってくれる。ライブならではの臨場感のある歌詞。「この歌を一緒に連れて行ってくれ」って歌った「ダイヤモンド」。きっと連れて行こう、って思った。


そして不意打ちのように始まる「K」。ドラムがドンドンと迫ってくる。いつも思うけど、きっとあの黒猫は幸せだった。だって「この日のために生まれてきたんだろう」なんて、強く思えることが僕らにあるだろうか。ドラマチックな曲だ。また目に涙が浮かんできた。


「K」のあと、ちゃまがしゃべる。「もっとみんなの歌声を聞かせて欲しい」。歌いました「fire sign」。「ナーナ、ナナナナナナーナ♪」ってみんなで大合唱。楽しかった、気持ちよかった、会場は一つだった。BUMP OF CHICKENって幸せなバンドだなって思った。その後も、「Supernova」でまた大合唱。この曲は暖かい。メロディが最初はなじめなかったけど、やっぱりいい曲だ。気付いたらスクリーンには、僕らが手を振る姿が映し出されていた。観客を大事にしてくれてることが、ひしひしと伝わってきて、胸が熱くなった。


「オンリーロンリーグローリー」で一旦締める。心地良いスピードでかけていく。「おはよう、ごめんな、さびしかっただろ?」にはやられたよ。どうして人一倍寂しそうな藤原君が、人一倍包容力を持ってるんだろう。不思議な才能だな、と思う。


ここからはアンコール。ちゃまのMCは面白い。雰囲気で、真に仲が良いバンドなんだなって伝わってくる。演奏力だけで見たら、確かに入れ替わっても問題ないメンバーかもしれない。でも、彼らがいるからこそ、藤原君の歌詞からは、一欠けらの希望が消えないんだと思う。そういう意味では、理想的な関係のバンドだ。


ここで、最初は異端な曲として評価が分かれていたのに、いつのまにかバンプ屈指の大名曲となっていた「スノースマイル」が鳴る。イントロで歓声があがったのはこの曲だけだ。みんな待ってたんだね。ここでも合唱。ちゃまが合図する。みんながそれに答える。最後は藤原君だけの「ラララ」に耳を澄ます。歌詞もないのに、こんなに伝わる。


ダンデライオン」も聞けた。まあ、欲を言えばここは「DANNY」をやって欲しかったところだけど(今回のツアー、他の会場ではやってたみたい)。贅沢ってもんでしょう。


アンコールはもう一度。ここでの藤原君の「にゃごや」MCには笑ったなあ(教えないけど)。これから、名古屋のファンの合言葉は「にゃごや」だな。ラストは定番「ガラスのブルース」。ガラスの目をした猫が言うと、ストレートなメッセージも嫌味なく伝わってくる。「君はいつか空にきらめく星になる」ってさ。僕もなれるのだろうか。






そうやって、ライブは終わった。友人と、また来ようって誓い合って。


藤原君の声の力が光るライブだったと思う。アコギ一本でも、十分過ぎるくらいに伝わってくる、優しくて、時に寂しげで、でも強くて、包容力もあるヴォーカル。そして、その非凡な歌詞をしっかりと大切に伝えるヴォーカル。日本のロック界に誇るヴォーカリストだと思う。そして、それをしっかりと支えるメンバー。理想的な佇まいのバンドだ。夢のような時間であり、同時にいろんなことを考えた時間だった。今を生きること。大雑把に言えばバンプがいつも伝えようとしていることはそれだ。それは簡単なようで、とっても難しい。ただ、僕はバンプと共有したこのライブでは、「今」を生きていた気がする。それはとっても素晴らしい体験だった。


これからどうしよう。このライブを思い出しながら、「今」をどんどんこぼしていく、そんなふうに過ごすこともできる・・・きっと、それじゃいけない。だから僕は考える。一旦立ち止まって。バンプはただがむしゃらに前に進むことだけでなく「立ち止まること」も「引き返すことも」肯定してくれるんだから。


最後に、本当にありがとう。BUMP OF CHICKEN。きっと、また行きます。
今度は「ロストマン」や「乗車権」も聞きたいな。