タイタス・アンドロニカス

昨日は東京に行ってきました。演劇を見るために東京へ行くなんて・・・!!いやあ、自分の文化レベルの向上を感じます。スイマセン、嘘です。母親の付き添いとしてです。帰りに食べるフランス料理につられて。いや、実際ちょっと見てみたい舞台ではあったんですけどね。


そんなこんなでまあとにかく。どうやら演出を「世界のニナガワ」と言われてるすごい方がやるらしい、そしてイギリスにも公演に行くことが決まっているという悲劇、「タイタス・アンドロニカス(シェイクスピア作)」を見に行ってきました。出演者で僕が知っているのは、小栗旬真中瞳ぐらいかな。


ここからは一応ネタばれなので。これから見る人はちょっとストップ。


身も蓋も正義も悪もなく、観客である僕らに感情移入すら許してくれない、血で血を洗う復讐劇でした。ラストすら誰一人救われたと思えません。終始重苦しく、息苦しい。ひどいストーリーだったと思います。


でも、それなのに途中の15分の休憩では「早く続きにならないかな」って思ったり、一瞬でもつまらない思わなかったのは・・・演劇という媒体の持つ力のせい?それとも魅力的な悪役達のせい?「なんかよくわからないけどすごい」、そんな印象がありました。


そして舞台装置。頭のてっぺんからつま先に至るまで真っ白。森の葉っぱすら白(ただ、その「白」が、照明によっていろんな表情をみせるんですけども)。そのなかで流される血の赤(布で表現していた)の鮮烈な美しさにはやられましたね。そして最高の悪エアロン(小栗旬)はそのなかで、黒い肌と赤い衣装をまとっていて、この対比も面白かった。視覚的に凄く刺激されました。ここらへんが世界のレヴェルなんですかね。


とまあ、そんな感じで、今思うと結構楽しめたのかなって思います。なんだかフラッシュバックのように、とある一場面がふとよみがえってきたりもして。そういえば、強姦され、両手を切られ、舌を切られてしゃべれなくなった後の、真中瞳はちょっぴりエロかった(笑)。いや、別に僕は変態ではないですけども。


とにかく復讐は何も生まないんだ、むなしさが残るだけなんだ、そして連鎖していくんだ、ということはなんとなく分かったし、なにより視覚的な衝撃と役者さんたちの高いテンションに引っ張られていくだけでもなかなかカタルシスを得られる劇でした。まあ演劇鑑賞三度目にして世界は少し早かった気もしますけど、それでも・・・


見て良かったと思いました。それで今は十分かな。