The Velvet Underground & Nico/The Velvet Underground

Velvet Underground & Nico
有名だから聞いてみなきゃ、と軽い気持ちで借りてみたこのアルバムは、それから一年たった今もまだ、僕のiPodminiの中にあります。


最初聞いたときのインパクトは凄かったですよ。録音悪すぎて、ざらざらしてて耳に悪そうなギターと、歌なのか朗読なのかよく分からないヴォーカルに、哲学的なのか思いつきなのかよく分からない歌詞。とたとたぱしぱし叩いてるだけのドラムに、キィキィしたノイズをだすビオラ。ギターソロも「素人が適当にかき鳴らした」的な雰囲気をかもし出してるし、なぜこんなCDが後世に残ってるんだとか思ったもんです。極論、俺にも作れそうだと。


しかし、この適当さ、録音のひどさ、ノイズの嵐の中、「僕にも出来そう」と思った奴らには絶対にまねできない部分があるんです。それというのも、このアルバム構成要素をひとつひとつ取り出すと気持ち悪いのに、一曲にまとまるとなぜかひどく心地いい。耳への麻薬って感じに見事になっているんですよ、これが。あのとたとたぱしぱしドラムなんて、その極みって感じしますね。


とにかく、よく分からないのに、なんだか心地よくて聞いてしまい、よく分からないまま、iPodminiから外せない。そんな麻薬的な、後世に残る(っていうかもう実際残ってる)名盤。


僕が特に好きな曲は、なんか情事の終わった後のような気だるさが、美しさの中にただようまともな(笑)「Sunday Morning」、oasisの元ネタでユニゾンの美学「I'm Waiting for the Man」、陰鬱な中のきぃきぃした音がくせになる「Venus in Furs」、ノイズビオラの美学「Black Angel's Death Song」ですね。


あと世間的な人気曲は「Heroin」ですかね。テンポの自在な変化による浮遊感と「ヘロイン、我が妻、我が人生」とかいうありえない歌詞が、まあ、うん魅力的です。


なんにしろこの盤については、聞いてみてくださいとしか言えないかも。僕自身もまだ、なんかつかみ所ないって感じている部分はありますし。が、とりあえずこれを「ただのゴミ」にしてしまうのはなんか凄くもったいないな、とは思います。これが名盤として残るところを見ると、ROCKって懐が深いなあ。もう一度いいますが、とりあえず聞いてみてください。話はそれからで。