SUMMER SONIC 2006 東京2日目(後編)

MUSE


初めてのMUSEのライブ。でも、ライブアルバムとかを聞くぶんには、特にCDとアレンジを変えているわけでもないし、そこまで大きな期待はしていなかった。


その見解は、大きな間違いだったと言わざるおえない。


まずはじめの曲は、新作の中でもかなり好きな「Map Of The Problematique」からだったのだが、もう音からして違う。3人で出してる音とは思えない、とはMUSEのライブの感想でよく聞く表現だが、まさにその通り。迫力のある重厚なベースと、叩き付ける様なドラム。そしてそれにまったく負けていない、マシューの神々しいファルセットと、超絶テクのギター。 CDより音は減っているはずなのに、圧倒的な表現力と音圧でその事実をかき消す。


ステージには強めの風が吹いていて、マシューの髪を横になびかせる。夕焼けの空を多めの雲が覆って、少し暗めなステージを作り出す。バンドの佇まいは、一ロックバンドを超えて、神々しさすら放っていた。僕の思い描く「格好よさ」がすべてそこにあったといってもいい。


今時、エアギター選手権でもないのに、大げさにギターを弾く手を振り上げるマシュー。しかもクソ真面目にだ。ナルシストだと思う。だが、どうしようもなく格好いい。その姿には、もはやひれ伏すしかなかったように思う。彼の一挙一動に釘づけになる。


「Hysteria」、「Invincible」のギターソロ。
「Supermassive Black Hole」のグラマラスなグルーヴ。
「Butterflies & Hurricanes」では超速ピアノソロまで披露。
「New Born」のギターが爆発する部分では、しっかりタメて思いっきり吐き出す。
「Stockholm Syndrome」のヘビメタのようなリフとFFのような電子音。
「Plug In Baby」のオペラのようなリフとファルセットでの叫び。


戦場を思わせるスケールの大きな「Knights Of Cydonia」まで、息つく暇もない、初めから終わりのどこをとっても格好良いとしかいいようがない、圧巻のライブだった。テンションがあがりすぎると人って泣きそうになるんですね。MUSE特有のやりすぎ感は、ライブだとこんなにも自然で、こんなにも輝くのか。


ダントツで僕的ベストアクト。不満なんて何一つ考えつかない。
まるで自分がMUSE教の信者になってしまったかのような錯覚すら覚える。
結局は、彼等についていけるか否かだけなのだ。


彼ら以上に格好いいバンドにこれから出会えるのか、不安になるくらいだった。

LINKIN PARK


途中で抜けて移動するために、アリーナから移動して遠目から見る。
始まりは「ゴジラの泣き声+モスラのテーマ」という気の効いた演出で、テンションがあがった。
こういう、登場シーンに凝るバンドっていいよな。


ライブでも、CDの複雑な曲をほぼ完璧に表現していて、しかも超満員なマリンステージの雰囲気も手伝って、お祭りのような雰囲気を呈していた。とっても楽しくて、格好よくて、MASSIVE ATTACKを見ないで、ずっとここにいようかと思ってしまう。


せめて、「In the End」だけでもと思ったが、さすがにこの曲を早くからやってくれるわけはない。「Lying From You」を聴けただけでもよしとするか、と思っていると、日本人の一人がステージに上げられて、チェスターらと抱き合ったあと「新曲やっちゃうってよ!」と一言。憎いことをする。新曲は路線こそあまり変わっていないものの、しっかり格好よかったのだが、これで「In the End」や「Faint」はもうやらないな、とあきらめがついて、移動した。


いつか彼らのワンマンライブをみたいものだ。もう一度モスラのテーマを聴きたい!

MASSIVE ATTACK


全速力で会場に着くと(自分にまだ体力が残っていたことにびっくり)、まだ始まってなくて、一安心。赤いライトで照らされた、不穏で怪しい電子音が流れる雰囲気満点のステージに「やっぱりこっちにきてよかった」と、さらに安心。僕の場所はここだ。


ライブが始まると、胸が苦しくなるぐらいの思いビートに、鼓膜の震えが分かるぐらいの低音を這うベースに、脳みそをだんだん毒されていく感覚が。これぞマッシヴ。曲は丁寧に変化し、停滞しあくまでミニマルに作られていく。すばらしい。


二曲目で僕の大好きな曲「Risingson」の、視界を開く「Dream On」が聴けて、うれしかった。


それからも、ゲストボーカルを3人も呼び、「Mezzanine」の曲中心に進んでいく。意外にも、ギターノイズを前面に出したアレンジで。はじめはまるでSigur Rosのようで、迫力にもだえたが、ちょっと食傷気味に。「Safe From Harm」や「Future Proof」なんかは、もう少し淡々と終わっても良かったように思えるのだが。あくまでベースとリズムを聴きにきている僕としては、そこが少し残念ではあった。


そんな中ひときわ歓声があがった「Teardrops」。みんな好きな曲は一緒だ。淡々としたギターの音色が、ステージを別世界にして、僕らをいざなっていく。


「Unfinished Sympathy」も終わり、最後は「Group Four」。あまりのギターの強さに食傷気味になっていた僕も、この曲には感服せざるおえなかった。ラストの部分で、同じフレーズをギターが弾く中、本当にじっくりと、テンポが速くなっていく。これぞミニマルミュージック的快感。聴いているのが辛いようで、しかし終わらないことを願うようなそんな気持ちに。午後10時までたっぷり演奏して、ライブは終わった。一番聴きたかった「Antistar」はさすがにアレンジの問題からかやらなかったが、別世界を体験できる、神秘的で官能的で素敵なライブだった。



こうして、僕の一夏の夢は終わりを告げた。My Chemical RomanceDJ Shadowは見れなかったが、最後のMUSE、(LINKIN PARK)、MASSIVE ATTACKの素晴らしさに、大満足のサマソニであった。ありがとう、SUMMER SONIC 2006!!