友達とキャンプに行った日の夜、山の中の小屋に泊まった。
みんなが疲れて眠る中、一人外で、煙草をくわえながら星空を見た。
首が痛くなるくらい、ずっと見上げていた。
ヘッドフォンからは、こんな言葉が聞こえてきた。
どうせいつかは嫌われるなら 愛した人に憎まれるなら
そうなる前に僕のほうから嫌った 僕だった
だけどいつかは誰かを求め 愛されたいとそう望むなら
そうなる前に僕のほうから
愛してみてよと
差し伸べられた手を握り返すのは簡単だから、
いつのまにか自分から手を差し伸べる事を忘れてしまった。
それはきっと、僕も君も同じだよね。
いつまでも暗闇の中で、「ほんとうのことば」だけを頼りに、
誰かが差し伸べてくれた手を捜しているんだ。
僕は星を見上げながら歩き続けた。
星が降ってきそうなくらいに、たくさん輝いていた。
それなのに、流れ星は一つも見当たらなくて。
「叶えるべき願いが、僕の中にないんだね」
言葉は誰にも聞こえなかった。
だって僕の耳には、ヘッドフォンから音楽が流れ込んでいたから。