ライ麦畑で捕まえてごらん。

ここで、僕がまるで口癖のように「何かが足りないんだ」と愚痴をこぼすとする。
すると、賢明な君はこう考えるだろう。
足りないものなんて世の中にはたくさんありすぎる。抽象的で、風呂敷を広げすぎた話題提供だ。


オーケー、それは確かに正論すぎるくらい正論だ。
だがしかし、最近の出来事を日記に綴る時に、これが一つの共通テーマとして生かされることに、
さっき気付いてしまったんだよ。これは本当の話。
だから、もう少し耳を傾けていてくれるかな。そうそう、サンキュー。



まずは今日のことなんだが、僕らは漫画喫茶に勉強に行ったわけだ。
なぜくつろぎ空間であるはずの漫画喫茶に、勉強に行かねばならないかと説明するのは、
ここでは申し訳ないが省かせてもらう。
こういうのって大事なんだよ。だって、君は僕が町内のくじを当てた話を聞くときに、
僕の家族構成から話されたくはないだろう?そういうことさ。


そうそう、漫画喫茶の話だったよね。
そこで僕らがささやかに勉学に励んでいる時に、隣の部屋から声がしたんだよ。
いや、もちろん漫画喫茶だからといって、声を出しちゃいけないなんてことはない。
二人部屋がある以上、コミュニケーションを取ることは普通だからね。
でも、仮にその声が、あいうえお表での一番最初の文字を、
かすれた息とともに小刻みに繰り返すようなものだったとしたら、どうだろう。


確かに、カップルで同じ個室に入るといちゃいちゃするというのは、
曲がり角でぶつかったパンを加えた少女が、転校生だったというぐらい必然だろう。それは認める。
だが、彼らには「何かが足りなかった」。判断力とか、他にもいろいろ足りないよね。
本当はもっと卑猥を卑猥で塗りたくったぐらいの卑猥さがあったんだが、
ざんねんながらそれを文章に起こすという作業には、とんでもない吐き気が伴うんだよ。
キーボードを汚したくないから、あとは想像を創造して、補ってくれればうれしいな。



さて、次の話。残念ながらこれが最後の話題だね。
本当はもっとうまく、「何かが足りなかった」にからめて話したかったんだけど。
今の僕には時間が足りないんだ…うまいこと言ったなんて思ってないぜ。


昨日、とっても楽しみにしてドラマを見たんだ。のだめカンタービレ
でも、どうしてか初回の面白さがなかった気がしたんだよ。
さしてテンションは変わってないはずなのに、ちょっとやり過ぎな演出とか、
詰め込みすぎな展開とかのせいかもしれないが、どうしても夢中になれなかった。
もちろん、峰とのだめが、ピアノの練習して、間違ったとこまでぴったりだったとか、
面白いシーンはあったんだけれどね。
うまくいえないが、きっと「何かが足りなかったんだ」と思う。ああ、うまいこと言えた。


というわけで、今日話したかったのはこれだけだよ、マジな話。
じゃあまた明日。僕の名前は、ホールデン・ソナ・コールフィールドさ。
キャッチャー・イン・ザ・ライ