ELEVEN FIRE CRACKERS/ELLEGARDEN

ELEVEN FIRE CRACKERS
オリコン初登場1位。その勢いはとどまるところを知らない。エルレ待望の5th。


「Opening」のギターノイズの唸りから、いきなり頭の芯にガツンと響くギターが聞こえてきて始まるこのアルバム。今までのELLEGARDENとは少し異質だ。聞こえてくる音は重く、生々しく、メロディにも暗さがある。


メロディといえば、今作ではシングル「Salamander」にあったような、あえて高揚感を抑えたメロディが使われていて、いつもの美しいメロディが、さらに突き抜けたような開放感を持って響いてくる。「Acropolis」や「Winter」を聞けば感じられると思う。


そんなメロディの対比に、いつも以上にブレがなく、力強く一点を見つめるような歌詞に、自分を搾り出すような声。これらから感じるのは、ただひたすらな疾走の中で、いつしか人気や期待やその他もろもろに足を取られ、泥沼に引きずり込まれそうになっているELLEGARDENの姿。そして、それでもやっと重く強い一歩を踏み出したELLEGARDENの姿だ。だからこそこのアルバムには、停滞から必死に足を踏み出そうともがいている、僕達の背中を思いっきり押す強さがある。


「Fire Cracker」間奏での、力強いベース。「Gunpowder Valentine」のぶっきらぼうな叫びと、ポップなサビの対比。「アッシュ」、「高架線」といった日本語詞の曲からは、繊細さや優しさを感じるし、「Salamander」、「Alternative Plans」はアレンジが変わって強度を増した。


そして「Marie」。冒頭の祈るようなメロディから心を鷲掴みにされて、そのまま最後まで駆けて行く。最高のクロージングナンバーで、32分はあっという間に終わる。

You scream out/I hear that
(叫び声をあげる君 聞こえるよ)

突き抜けたメロディとともに聞こえてくるこの言葉とともに。
僕らの叫び声は、きっと届いてる。だから僕は、静かにこぶしを握り締める。