Endtroducing.../DJ SHADOW

Endtroducing (Dlx) (Dig) (Spkg)
3rdが賛否両論の(少し否が多いか)、DJ SHADOW。その1stアルバム。
なんと全ての音がサンプリングによって作られているアルバムで、ギネスブックにも載っています。


どうしてもサンプリングで作られたアルバムと言われると、素人考えでは「リズム主体でそれに上モノが少しかぶさる」ものぐらいしか想像できませんが、2曲目「Building Steam With A Grain Of Salt」からその予想は覆されます。荘厳なピアノが聞こえてきたかと思うと、そこに幾重にも重なるギターやベースやシンセ達。それに音の欠片を使ったコラージュという印象はなく、継ぎ目の見えない一つの絵として完成しています。リズムももちろん素晴らしいんですが、それ以上に、その上をいろんな音が通り過ぎ、最後はその音の欠片達が一度に重なる恍惚感。ただただ酔いしれるしかありませんでした。


このアルバムには、ヴォーカルもラップもほぼないに近いです。けれど、冷たくて格好いいリズムに乗る、時にジャズっぽく時にROCKっぽい、彼が膨大なレコードから探り当てた音の欠片。それらが生み出す構築美。サンプリングで全てが作られたと聞くと、どうしても僕なんかは身構えてしまいますが、この作品は音楽を作る立場の人が聞いて参考にするような玄人的なアルバムではなく、開かれた格好よさを持ち万人にアピールできる、ポップなアルバムだと思います。


3rdや、テリヤキボーイズで彼の名前を知った人、ぜひこれを聞いてください。
彼の出世作であり、音楽への愛の結晶であり、最高傑作だと思います。