映画版デスノート(後編)から その②

注:ネタバレを含みます
これからデスノートを見ようとしている人、
見ようかなと迷っている人は見ないようにしてください。


とにかく、この映画には「自分も名前を書かれてしまうんじゃないか」と錯覚してしまうような緊張感があった。それはどうしてかといえば、冒頭から衝撃的なシーンを持ってきたからだと思う。


ミサがTVを使ってキラに呼びかける場面。そこではキラ崇拝者の集会を止めようする警官が殺されていく。漫画では最後まで生き残る、あの「模木さん」までも。そしてその後、夜神粧裕さえも殺されそうになる。この子まで死んでしまうの?そんな緊張感が僕をぐいぐい引き込んでいく。


そして、ラスト。ここのトリックがどうとかについては、いろいろ突込みどころもあるかもしれないが、僕は原作の「ジョバンニが一晩でやってくれました」よりは、説得力があったと思う。それに、最後に生き残るのが、Lでもライトでもなく、夜神総一郎というのは、なんというかとてもしっくりきた。ライトもLもどちらかといえば異能で、異端者だ。そうではなく、あくまで僕らと同じフィールドに立って、正義を行使しようとしている夜神さんが最後まで存在しているという終わり方は、どこか心強く感じた。


それにしても、正義とか法律とかを語る夜神総一郎に共鳴し、格好いいと感じたことに自分でも驚いている。生粋のひねくれものなのに。そういえば、僕は映画の終わり、涙を必死に堪えていたのだが、一体何に泣きそうになっていたのだろう。デスノートの存在に対する嫌悪と、それに関わった人の運命に対する悲しみがごっちゃになって胸が詰まったんだろう。


「今年の映画のベストは、デスノート(後編)です」って言ったら、映画ファンの人に笑われてしまうかな。でもこの映画は、もともとデスノートというストーリーが所有していた、「天才同士の駆け引き」以外の要素を浮き上がらせ、その上で、しっかり終わらせた。それは、僕の中でとても意味があることだったのだ。


エンドロール、テーマソングであるレッチリの「Snow」の和訳を見ていたら、また涙がでそうになった。不思議なことに、デスノートと言うテーマに沿った歌詞だと感じたのだけど、それはまったくの偶然なのか、それともアンソニーが意識して書いたのか。本当に、最後の最後まで楽しめる映画だった。これは、見るべきだよ。