日々と重なる時

―――真白い君の肩を抱きながら 何を言えばいいか分からない僕だったよ



ちょっぴり幸せだなって思った日があって、日記を書こうとした。
でも、日付が変わる瞬間にかかってきた電話を終わった時、
何を書こうとしていたか忘れてしまった。
なんだかお腹が痛くて、眠る気も起こらなかった。
何とはなしに、いつものサイトを巡っていた。
開いているウィンドウの数だけが、ただ虚しく増えていった。



―――だれのせいでもなくて イカれちまった夜に



昨日から楽しみにしていた、「ドラえもん のび太と傭兵」が完結した。
それを読み始めて、そして読み終わった。
少しだけ気分が高揚して、また眠気は遠くなっていった。
さっき見たはずの、いつものサイトを巡っていた。



―――UP & DOWN  UP & DOWN  SLOW FAST



何とはなしに、「夕べの夕陽の眩しさの理由。」というブログに飛んだ。
その人はまた、大して悲しくもないのに冷たい温度の文章を書いていた。
やれやれ、また自分の憂いとやらに酔ってやがるんだな。
よくよく見ると、新しいコメントが入っていた。
ブランキーのアルバムと同じHNの人からだ。
fishmansのヴォーカルって、佐藤伸治さんって言うのか。
そうか、死んじゃってるんだな。
だからって、彼を神格化することもないんだけど。



―――UP & DOWN  UP & DOWN  ナイトクルージング



その人に薦められた「BABY BLUE」のPVをYou Tubeで探した。
フルートの音が優しく耳に響いてきて、僕はその音に酔った。
時折聞こえてくる、ふわふわした言葉にちょっとセンチメンタルになった。
もっともっと聞きたくなって、PVが終わったあとは、
iTunesで、「ナイトクルージング」と「BABY BLUE」ばかり、繰り返し聞いていた。



―――意味なんかない 意味なんかない 今にも僕は泣きそうだよ



ずっとずっと繰り返し聞いていた。
さっき見たはずの、いつものサイトを巡っていた。
でも、ディスプレイの文字は、みんな僕の頭には入ってこなかった。
開いているウィンドウの数だけが、ただ虚しく増えていった。
なんだかどうしようもなく泣きたくなって、少し泣いてしまった。
お腹の痛みはまだ直らなかった。



そろそろ寝ないと、明日のテスト勉強に響いてしまうな。
まったく無気力なまま、なんとか寝巻きを着る事ができた。
もうだいぶ夜更かししてしまった。
明日の朝になってもきっと、風邪は治ってないだろうな。
音が鳴り止むのがひどく怖くて、iPodminiでも同じ曲を聴き続けた。



―――このまま連れてってよ 僕だけを連れてってよ どこまでも連れてってよ



いつのまにか眠ってしまった。
それでも僕の頭の中では、ずっとずっと音が鳴り続けていた。
夢の中でもきっと、ずっとずっと鳴り続けていた。





―――今日が終わっても 明日がきて 長くはかなく 日々は続くさ
―――意味なんかない 意味なんかない 今にも僕は泣きそうだよ




















BABY BLUE
ナイトクルージング