SILENT ALARM/Bloc Party

Silent Alarm
さめて、さめて、さめている。
冷めて、覚めて、醒めている。
UKROCKを切り裂く、bloc partyのデビューアルバム。


彼らの特徴と言えば、やはりその音の隙間、だと思う。かなり大きめに録音されたドラムに、断片的なギターとベース、そしてハイトーンなヴォーカルが隙間を埋めきることなく絶妙に絡む。そして、その音の隙間を切り裂くように挿入される冷たいギターアルペジオ。この展開は、もはや発明と言って良いのでないのだろうか。


とりあえず、「Helicopter」を聞いてみて欲しい。


曲の後半、ノイズのようにカリカリなるギターの向こう、遠くでクリーンなギターアルペジオが響く。それは少しずつ空間を埋めるように、曲全体を支配する。僕がこのアルバムを聞いていてもっとも高揚する瞬間。「ギター音の挿入」、たったそれだけがこんなに美しく、こんなにドラマチックな瞬間なんて、他のバンドでは、ありえるだろうか?


しかも、その冷たいギターはバラードにもしても映えるし、メロディも美しい。曲展開も上に揚げたようなものから、丁寧に音を重ねて盛り上げるようなものまで多彩。新人の荒削な雰囲気を持ちつつも、ヘッドフォンにおける音の振り分けが丁寧で、実は繊細であり緻密。実に三次元的に音が配置されている。


1stにしてこれだけ完成している、その事実だけが怖い、そんなアルバム。
「静かなサイレン」、そんなギターが鳴る時、それは新しいROCKの始まりを告げる。