最近夜が眠れない

ZOO〈1〉 (集英社文庫)  ZOO〈2〉 (集英社文庫)
最近夜が眠れない…どうしてかっていうと、乙一の小説「ZOO」を読んでしまったから。別に、読後は特に何も感じなかったんですけどね、なんだか夜になって、一人で部屋にいると、途端に部屋の外に何もなくなってて、そこは世界と切り離されちゃうんじゃないかって思うんです。ふと振り向いたら、僕の後ろは崖だった、みたいな強迫観念。つまりは、そんな本でした。


というわけで、「普段はクールぶってるけど、実は怖い話に弱い」みたいな新たなギャップ――萌え要素を獲得したso-naです。皆さんいかがお過ごしですか。いきなり言い訳を言うと、確かに怖い話には弱いけど、なんというかお化けとか以前に、精神的にぞくっとする感じに特に弱いのです。分かりやすく言うと、ドラえもんの映画で言えば「パラレル西遊記」なんかすごく怖い。あとは、今映画化した「どろろ」。手塚治虫の漫画のあらすじがぱらぱら載っていた雑誌で、その「身体を48箇所に分けられて、赤ちゃんが肉の塊にされて、その身体を取り返す」という設定を読んだだけなのに、生理的に怖ろしくて、丸二日眠れなかった思い出があります。


さて、今は一人で居間にて、パソコンに向かってブログ打ってるんですが、正直背中の辺りがちょっと寒い。だから昨日の自分の曲に対するプロモーション文章(…だったんですよ)とか、閉塞的で、タイピングしててかなり怖かったですもん。自分の心の怖いところを引き出しているみたいで。


というわけで、今日はとってもポップな話をしようと思います。そうです、今までの文章は枕です。そのぽっぷできゃぴきゃぴなお話は、彼女からのあるメールから始まります。


「トイレに行ったら、その前にある椅子で、女の子二人がケーキを食べてた。びっくり。」


僕は理由があると思った。だって、いろいろな休憩スペースがあるタカシマヤの中で、あえてトイレの前の椅子に座る必要性を感じなかったから。なら、どういう理由があるか。多分その女の子達は、実は三人グループだったんですね。そして、こんな会話を繰り広げていたんです。



「もうすぐバレンタインデーだね」
「ぶっちゃけたところさー、あげる男いる?」
「私は『今は』いないわ。まちこは?」
「私も『今は』いないわ」
「(今はって強調して言う女に限ってもてないって話よね)」
「じゃあ気分転換に、ケーキでも食べない?」
「はーい、さーんせい」
「はーい、あるかりせい」
「(つまんない、だから男ができないのよ)」
「(つまんない、だから男ができないのよ)」


「全部で1050円になります。ありがとうございました」
「やべーめっちゃうまそうじゃない?」
「早く食べようよ」
「ゴメン、ちょっとトイレ行っていい?」
「えー早く食べようよ」
「トイレぐらい良いでしょ。行ってきな、まちこ」
「サンキュ、じゃあ前の椅子で待ってて」
「待ちきれないからなるべく早くしてね」


「ちょっと開けてみない」
「いいよー」
「(うわ、このチーズケーキ、まるで私に食べてくれと懇願しているようだわ)」
「(うわ、このショートケーキの上のイチゴちゃん、濡れた子犬のような目をしてるわ)」
「なあ、ぶっちゃけ食べるしかなくね?」
「子犬の目には勝てないわ」
「いただきまーす」
「いただきまーす」


「おーいしーいっ!!」



というわけで、オチのない話でした。だって、僕は今日こそ強迫観念から逃げて、心地よく眠りに尽きたいんです。そのためにはやっぱり枕が大事。安眠には欠かせないグッズですもん。だからこそ、この文章は「枕が大事」で、「続きを読む」以降はオマケだったんです。なんという華麗な伏線。会話劇がたいして面白くなかったのも、この三行のオチのためだったのね。完璧だわ。もはや私は、あなたにぞっこんよ。結婚よ。


なんだこの文章、僕の頭の混乱を如実に示している…ああ、今日はよく眠れますように。