Make This Your Own/The Cooper Temple Clause

Make This Your Own (Chi)
The Cooper Temple Clause(以下TCTC)というバンドを知っている人はどれくらいいるだろう。UKではかなり上位に食い込むらしいし、1stの頃はかなり期待の新人として名があがったはずなのだが、イマイチ知名度がないように思える。バンドとしてのポテンシャルはとても高いと思う。演奏のレベルはかなり高いし、曲の幅も広い。ただ、このバンドはいつも何か足りないのだ。


1stには初期衝動があったが、どこか散漫でまとまりがなく、
2ndでは散漫さは薄れ、ダークで予想しがたい曲展開があったが、どこか冗長で
そしてこの3rdでは、曲が短くまとまりメロディが洗練された分、攻撃性が減ってしまった。


いきなりのスカスカロック「Damage」から、シングル「Homo Sapiens」と来て、
もろニューウェーブな「Head」、「Connect」を挟み(特に後者はもはやNew Orderの新曲)、
感動的なメロディの「Wating Game」がくる。


前半の流れはとても素晴らしいし、後半だって「Take Comfort」でカントリーに挑戦したりと相変わらず懐は広い。けれども、1st、2ndのひりひりする感じが減ってしまったのは否めない。今回は、ピアノと歌だけで聞かせられるまで曲を煮詰めたらしいけれど、やはりそうすると攻撃性は薄れる。洗練されていないメロディというのはある意味暴力的だからなのかもしれない。


相変わらず下手にフランツとかアークティックとかの作風に迎合することもなく、やりたいことをやっていると思うし、いい曲をつくっている。でも、これではUK ROCKの中心に来れないかなあと思う、そこがもどかしいバンド。このまま、固定ファンに対していい曲を作り続けて長生きするというのもありなんだろうけれど、もっと凄いことができそうな気もする。このアルバムの完成度で、かつ前回のシングル「Proimises Promises」級の爆発力を持つ曲を共存させれば、みんなの度肝を抜けるはずなんだ!と、このもどかしさも、もしかしたらTCTCのアイデンティティなのかもしれない。