Syrup16g(at 名古屋CLUB QUATTRO)

(これは、4/25に書かれた日記です。諸事情により日付を移してあります。)
もろもろの事情で、会場に入ったのは10分前。もう会場は満員になっていて、僕はドリンク売り場の前あたりに陣取る。この会場は狭くて落ち着いているから好きだ。SEにはLinkin Parkの「In The End」なんかがかかっていて、誰が選んだかは分からないが、何となく五十嵐さんっぽいなと思った。彼はKICK THE CAN CREWとか、結構ポップな曲が好きなのだ。


10分ほど遅れて、証明が落とされる。
髪がぼさぼさでひげ面の五十嵐氏が現れて、ライブは始まった。
(以下セットリストあり)


最初は新曲から。最初は有名曲で盛り上げてから、なんて打算は彼らにはないらしい。わりとスタンダードな、ロックソングだった気がする。そして次の曲は、あの「生活」だった。


君に存在価値はあるか そしてその根拠とは何だ
涙流してりゃ悲しいか 心なんて一生不安さ


この衝撃的な言葉が、生の五十嵐氏の声に乗って、想像以上の力を持って胸に突き刺さる。彼の声は、すべてを攻撃し、突き放しているようでいて、母性本能をくすぐるような弱さと甘さを持っている。それが生で聞けただけでも、僕が今日ここに足を運んだ意味はあった。


さらに大好きな「神のカルマ」と続き、僕の感情はいきなりピークに達する。「サイレンが聞こえてもまだ 歌うたってもいいの?」という言葉のあまりの切実さに、思わず涙がでそうになる。ライブで泣きそうになったことなんて、今までないのだが。シロップの歌詞の力に、思わずため息が出る。


そういえば、「あんた 嫌い」のところで、最前列の女子達から歓声が上がったのだが、そこは萌えるところじゃないような………もしかして、ちょっとビジュアル系な服装の女の子達が来ていたのはそういうわけだったのか!なんか違う気もするけど。


そこからは、ひたすら叫ぶ新曲と、メロウな新曲を挟んで、「不眠症」から「Hell-See」の流れに突入。この頃のどうしようもない暗さもまたいい。ギターの金属音が会場の温度を下げ、モッシュすら起こっていた最前列の人達も、立ち尽くして聞き入っていた。


最新作がベストということもあるだろうが、どのアルバムからもまんべんなく曲をやってくれた。シロップはとにかく一曲一曲の密度と情報量が多いので、途中少し疲れてしまったが、そこで流れにメリハリを取り戻したのは「パープルムカデ」だった。正直CD音源は好きではないのだが、なるほど、どうやらライブでこそ映える曲らしい。ドラムの中畑氏も、ここぞとばかりに全身を使って暴れまわる。その後、「汚れたいだけ」をプレイして、いったんステージ奥に下がる。


そこからは、アンコール。やはり最後を締めるのは、「coup d’Etat〜空をなくす」の流れだった。どうやらみんな好きな曲は一緒らしい。この曲に限らず、シロップの曲はかなりベースラインが動いていて、歌っていて、そこにも僕は痺れるのだがどうだろう。


と、それで終わりでは無かったらしい。本当の最後を飾るのは、「リアル」だった。ダンスビートの効いた曲なのだが、見事にロックアレンジに脚色されていて、会場の温度は最高に熱くなった。かなり五十嵐氏の機嫌は良かったみたいで、もう一回ぐらい出てきてくれないかと思って粘り強くアンコールは叫ばれていたが、さすがに終わりだった。


前半部は、バンドとしてよりも、曲自身の力と、五十嵐氏の決してうまくはないのだが、体中の感情を一滴残らず吐き出しつくすような歌に持っていかれるライブだった。だが、後半、そしてアンコールでは、ロックバンドとしてのライブを魅せてくれたように思う。僕はそのどちらにも痺れたのだが、新曲達の外向きな感触といい、これからのシロップは後者――ロックバンドとしての色を強めていくように思えた。


何はともあれ、早く新生シロップのアルバムが効きたくてたまらなくなった。

セットリスト
01 (新曲)
02 生活
03 神のカルマ
04 (新曲)
05 (新曲)
06 不眠症
07 ex.人間
08 正常
09 I・N・M
10 My Song
11 天才
12 ソドシラソ
13 翌日
14 Sonic Disorder
15 パープルムカデ
16 汚れたいだけ


(encore1)
01 (新曲)
02 真空
03 coup d’Etat
04 空をなくす


(encore2)
01 リアル