日記4

名古屋行きの地下鉄に乗った時に
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT GRATEFUL TRIAD YEARS 1995-1997
を聞き始めると、時計台に着くあたりでちょうど、3曲目の「世界の終わり」に差し掛かった。


デビューシングルなのに、いきなりタイトルに「終わり」とつけるあたり、
「悪いのは全部 君だと思ってた くるってるのは あんたなんだって」と歌い出すあたり、
世間へのアンチテーゼに溢れていて、実に彼ららしい。


ところで僕は、世界の終わりというテーマを、大げさに演出するのはあまり好きじゃない。
世界の終わりとは――日常の隣に、ささやかに佇んでいるものだと思っている。
そう、きっとこの曲の歌詞のように、パンを焼いて、紅茶でも飲みながら待つものなんだ。

世界の終わりが そこで見てるよと
紅茶のみ干して 君は静かに待つ
パンを焼きながら 待ち焦がれている
やってくる時を 待ち焦がれている

そんなことを考えながら、チバのまだ若さの残る声に浸っていると、
あっという間に曲は終わってしまい、4曲目の「I Was Walkin' & Sleepin'」が聞こえてくる。
この曲もまた皮肉たっぷりの歌詞と、それに相反するポップなメロディが大好きな曲だ。


それにしても待ち合わせが苦手な僕には珍しく、今日は不思議と落ち着いた気分。
これが一年という時間がもたらした成果なら、無駄かと思われた大学生活も悪くはなかったのか。


しかし、いつの間にか(といっても途中で何曲が飛ばしたのだが)、
12曲目の「ゲット・アップ・ルーシー」に差し掛かってしまった。
これまた大好きな曲だが、ミッシェルに浸っているのも、そろそろ限界だ。


ルーシーよ、起きてくれ!じゃなかった、早くここに辿り着いてくれ!
正面の壁にもたれて、不安そうな顔で僕と同じくらいの時間から人を待っている、
灰色のパーカーを着たお兄さんより先に、待ち合わせから解放されたいんだ!



遂に13曲目の「バードメン」に差し掛かってしまった頃、やっと、彼女は姿を現した。



なんだかんだで、一年がたったんだな。
彼女のちょっと濃い目の化粧の上に乗る、零れ落ちそうな笑顔を見ながら、
僕らの表面を滑るように落ちていった一年を思ったのだった。


「世界の終わりとルーシーと記念日」2007.4.23.23:59pm