日記シリーズ あとがき

注意!


日記シリーズの核心部のネタバレを含みます。
これから時間をとって読もうと思ってくださっている方は、
このあとがきをスルーしていただくと幸いです。





「もし僕が普通な日記を書いて、それに少しずつフィクションを混ぜていったら、
読者さんは一体いつごろ気がつくんだろう?」


はじまりは、こんな考えからでした。そしてそれに、
前から考えていた「もし僕がブログを書かされているとしたら」というアイディアを組み合わせて、
日記シリーズは生まれました。このシリーズを読者さんの一人は
「so-naさんが書いている長編小説」というように言っていたそうですが、
そういう意味では長編小説とはちょっと違います。
僕には長編小説を書く――つまりその世界の中で生きる人物を完全に脳内で作り上げる、
ということが出来ないので、この物語の下地にあるのは紛れもなく僕の日常であり、
この物語の主人公は僕自身で、彼女も僕の彼女であり、
この日記の一部分(特に前半の日記)は本当の話もだいぶ混ざっています。


本来なら長編小説は一度に書き上げて少しづつ小出しにするべきだと思うのですが、
これはそういう意味で、僕の日常で起こる偶然性みたいなものを取り入れたかったので、
ある程度のプロットは決めておきつつも、あえて少しづつ書いてみました。


ゆえにあとでまとめて読み返すとちょっと読みづらいと思う部分もあり、反省しています。
多分僕が思うに、このシリーズはまとめ読みするよりも、
「なんだこれは?」と思いながら、リアルタイムで追っていた人が一番面白いのかな、
なんて思ったりもします。もちろん、「書き手が読者さんに読み方を強制する」
なんてことは出来ないどころか論外なのですけれど。



このシリーズにおいて、一番気を使ったのは「曖昧さを失くさないように」ということです。
ほとんどの人が「ああこれは創作なんだ」と途中で気がつくと思いますが、
それでも、それを証明してしまうことはどうしても避けたかった。
「もしかしたら、すべて本当なのかもしれない」そんな余地は残しておきたかった。
コメント欄を途中から閉じてしまったのはそういう理由です。
「これって創作なんですよね?Kさんはいないんですよね?」と質問されることを、
避けるためでした。ただ、「コメント欄を閉じたのにKさんがコメントできている」、
という事実から、逆説的にこの物語の虚構性に気がついた人もいるかもしれないですけれど。


この必死に曖昧さを保ったことに意味があったのかはよく分かりませんが、
僕の友人と、ある日同じ電車に乗り合わせた時に、


「前からso-na君に会ったら聞こうと思っていたんだけれど、Kさんって実在するの?」


と聞かれたことがあって、これだけでも曖昧にしておいたことに意味は合ったのかもな、
なんて生意気にも思っています。しかし、あの時は嬉しかったなあ。
もしかしたら、このシリーズを書いていて一番嬉しかった瞬間かもしれません。



ここからはこのシリーズに含まれている、ちょっとした仕掛けについて。
まず、このシリーズに名前が出てくるアーティストは、すべて「終わり」に関係があります。


The Cooper Temple Clause……「今年解散→終わってしまったアーティスト」
Thee Michelle Gun Elephant……「言わずもがな、デビュー曲が世界の終わり」
・World's end girlfriend……「アーティスト名が、世界の終りの彼女」


ちょっとこじつけ臭いですけどね。あと、明かされていない伏線として、
日記16でKさんがコメントしている、

「僕」が例の夢を見るためのきっかけとなる、
「ある環境」というか「条件」というかそういうもの。

がなにか分かりましたでしょうか?これは、コメント欄で聞いてみよっと。
Kさんが「ふふ、ちょっとおかしい」といった理由も含めて当ててもらえると、
僕がめいっぱい尊敬の念を降り注ぐことになります。それだけかよ!


とまあこのあたりで、僕のエゴ丸出しのあとがきを終わろうと思います。
自分の作ったものに対して自分で言及することほど格好悪いことはありませんが、
まあ「作った側の弱音が見れる」っていうのも、ブログの面白さかな、
なんて思っているので、いいんじゃないでしょうか。だってあとがき書くの楽しいんですよ。
時雨沢恵一さん(「キノの旅」の作者)が、
あとがきに懲りまくる気持ちが少し分かった気がします。


では、4月からはじまって夏休み前に終わるつもりが、
8月末までかかるというように、予想以上に長くなってしまった日記シリーズ。
これからは音楽レビューも復活して、以前のブログの形式を取り戻していく予定なので、
(もう少し更新頻度も上がります!九月は暇で暇で……)
日記シリーズに正直興味がわかなかった人もまた見にきてくれると嬉しいです。


では最後に、この現実と虚構が曖昧な日記達を読んでくれた人に深い感謝を示しつつ、
これからもこのブログをよろしくお願いします。



あ、感想はまだ募集中ですよ。
気軽にコメント欄を使って言ってもらえると、物凄く嬉しかったりします。