一人の少年がいた。
彼には両親がいなかった。
いつも一人で家に引きこもって、黙々と機械をいじっていた。
彼は、絶対に壊れない人間が作りたかった。
そのためにはまず、絶対に壊れないボディが必要だった。
そして今日、それは完成した。
核爆弾が真上に落ちたって壊れない、頑丈なボディをもったロボット。
彼はそれに、昔、遊びで作ったごく簡単なプログラムを入れてみた。
少しの間隔をあけて、ただ「エモーション」とだけつぶやく。
そんな単純なプログラムだった。
※※ PROGRAM NO.005
main pro(
roop point
talk{ EMOTION... }
sleep{ 15(s) }→to roop point
)end
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
少年はニヤリと笑って、愛おしそうにそのロボットを眺めた。
さあて、次は感情を作らなくちゃ。
ここからが大変だ。頑張らないとな。
けれど、その日の夜、
寝ぼけたどこかの偉い人が、間違って押したミサイルのせいで戦争が始まって、
世界は焼け野原になった。
みんな、死んでしまった。
少年も、炎に包まれて死んでしまった。
何もない真っ赤な大地がどこまでも続くなか、
ロボットだけがずっと、一つの言葉を発し続けていた。
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...
エモオォショオォォーン...