Underworld Live; OBLIVION BELL(at Zepp Osaka)

はるばる大阪まで鈍行列車に乗って、踊ってきました。名古屋から大阪に向かう間、こんなに山の中を通るんだなとか思いながら、「人間失格」を読む時間もそれなりに素敵でしたが、そんなセンチメンタルは脇に放って。僕はZepp Osakaの前で、漏れ聞こえる四つ打ちに幸せなダンスの予感を感じていました。(以下セットリストあり)


始まりはAndrew WeatherallのDJから。彼と言えば、Primal Screamの「I'm Losing More Than I'll Ever Have」を「Loaded」にRemixして、名盤「Screamadelica」にアンセムを追加した人物。けれど、特にロック色を強調したセットではなく、あくまで主役はUnderworldに譲るという感じの、上がり過ぎないDJでした。わりと余裕があったので、この時に周りを見渡してみると、割と若い人たちが多い印象。それも音楽ジャンキーというよりは、俗っぽく言うと「遊んでいる」感じの人が多く思えて、「みんなのUnderworld」なんて言葉が頭をよぎりました。


それはともかく、次に出てきたのは、Simian Mobile Discoというグループ。こちらは打って変わって、かなり鋭角的で刺激的な電子音で、思いっきり躍らせてきました。40分足らずの短さですが、これからUnderworldが控えていると思うと十分すぎるほどのアクセントでした。そしてまた、Andrew WeatherallのじっくりとしたDJをはさむと、本家の登場です。



銀色のきらきらしたスーツを着てカールが出てくると、新作の「Holding The Moth」風のリズムに乗って「OSAKA!!」とご挨拶。粋な挨拶に否応なしにテンションが挙がります。そして始まったのは、「mmm skyscraper i love you」。これは予想外、そして大好きな曲。独特のごろごろ転がるようなリズムをもったこの曲で、会場の空気はゆっくりと熱を持っていきます。


そして次は「Crocodile」から「Beautiful Burnout」と新作の冒頭の流れへ。「Crocodile」はやはり、歌の合間に入る沈んでいくような電子音が聞こえてくる時、大きな歓声が上がります。会場の人たちと、「同じ音」で酔うという気持ちよさ。そして「Beatiful Burnout」は「Crocodile」より何倍もライブ映えする曲で、一度静かになったあとトライバルなリズムが聞こえてくる瞬間に、僕は思わず「格好良い……」という言葉がこぼれていました。


ただ、次の「Rez/Cowgirl」ならぬ「Cowgirl/Rez」は、その名の通り「Cowgirl」の不穏なベース音から始まり、「Rez」に繋いでまた「Cowgirl」に戻る曲だったのですが……これには少し不満が。「Cowgirl」の個人的に一番気持ち良い部分をぶった切っているアレンジになっていたんですよね。うーん……ベタでも「Rez/Cowgirl」と繋いで欲しかったです。その後にトイレに行ったとき、隣の二人が「今のは、ちょっとしっくりこないよな」とつぶやいていて、思わず「だよね!」と言って混ざりたくなったのは内緒の話。


さて、そこからは歌モノの「Boy,Boy,Boy」で少し休憩し、「Two Month Off」へ。この曲が今回のライブでの僕のベストアクトでした。キラキラした電子音に、まさに「空から降り注ぐ」という表現がぴったりのシンセストリングス。頭の中の幸福をつかさどる部分がメーターを振り切ったかのような凄まじい気持ちよさに襲われ、気がついたら前に立っていたお兄さんとハイタッチを交わしていました。会場には、光を浴びて光る棒(のようなバルーン)が立てられて、視覚的にも幻想的な空間を作り出していましたが、それ以上に、会場のほぼ全員が「手をかざしてシンセの光を浴びている」という光景に僕は感極まりました。これがUnderworldのライブ!!!!


その後の「Glam Bucket」は古代遺跡を探検しているような神秘的な気分になる曲でした。四つ打ちも踊るためというより、感覚を揺さぶるために使われているようで、その壮大なスケールにUnderworldの「これから」が少しだけ見えたような気がしました。


それからは「King Of Snake」、「Born Slippy Nuxx」と最高に盛り上がる二曲を。そろそろ疲れてきたのに「強制的に踊らされる」という感覚で、馬鹿みたいに身体を揺らしていました。「Born Slippy Nuxx」のあのコードが聞こえてくる瞬間、会場が白いライトで眩しいくらいに照らされ、みんなが手をかざして光を浴びていました。


ここで終わりかと思っていると、あと一曲。「Jumbo」で美しいラストが飾られました。陶酔できるという意味では、「Two Month Off」とはまた別の、もう一つのベストアクト。後半、シンセストリングスが会場を水のように柔らかく包み込んでいく瞬間は本当に美しく、溶けていきそうで、もう終電を逃しても良いからずっと聞いていたいって、思いました。


本当に幸せな気分になったライブでした。カールは終始楽しそうに、腕を前後左右に突き出してへんてこな踊りを踊ったり、歌ったりしていて、見ているこっちまで楽しくなってきました。個人的には、リズムとかヴォーカルで思いっきり盛り上げていく曲よりも、シンセが降り注いでいくタイプの曲のほうにより惹かれました。あの、文字通りに「光が降り注いでくる」感覚。そしてそれをみんなで「手をかざして受け止める」感覚。これを味わえただけでも、Underworldのライブに来てよかったです。


でも、まだまだ東京会場でやった「Moaner」とか、「Pearl's Girl」とか、聴きたかった曲はたくさんあって。またUnderworldのライブで、光を浴びて踊りたい……そんなことを、思いました。

セットリスト
01. mmm skyscraper i love you
02. Improvisation(即興)
03. Crocodile
04. Beautiful Burnout
05. Cowgirl/Rez
06. Boy,Boy,Boy
07. Two Months Off
08. Spikee
09. Glam Bucket
10. King of Snake
11. Born Slippy Nuxx
12. Jumbo


(※02. はmixi によるとDarren Priceの「Everybody Jack」?)