ピュアネス

気の利いたことを言いたくて、いろいろ考えるんだけれど。
でも考えるっていうのは温度の低い行為で。
その音たちはもっと温度が高い気がしたから、もっと自然に置いていこうと思った。


僕らは、考えるということをどうしても重要視しすぎる。
いろいろ考えて、いろんな言葉を読んで、そしてたくさんの言葉を積み上げていく。
そして何も見えなくなって、自分の姿も見えなくなって、混乱してしまうのだ。
もっと伝えたいことはシンプルで、もっと透き通っているから。
彼はそこにあるように言葉を選んで、ふわりと置いておくだけなのだ。
するとその言葉は濁りなく、キラキラと光りだす。


でもそれをするのはひどく怖いことだ。それは知識でなく感覚でする作業だから。
僕らが初めから持っているもので、行う作業だから。



何回も繰り返し言うことで意味が強くなるようにしたくて。
なら、そうか、足し算だろうなと。


何回も繰り返し言うことで意味が強くなるように。
例えそんな音に出会っても、それに気がつくのはほんの少しの人間。
そしてそれを、もっとも近くて、それゆえにもっとも見つけにくいことで表現すること。
それができるのは、ジュンジ君たった一人だということ。



例えば「青春」っていう言葉では、僕の嫌いな意味も連れてきちゃうから。
だから自分の好きな意味だけを抽出するために、この言葉にした。


こぢんまりした部屋がある。そこには、白くて品の良いテーブルがあり、
大きな椅子と小さな椅子が向かい合っておいてある。
その大きな方にジュンジ君が座り、小さな方にコトバが座る。
彼は少しずつそのコトバ、文字にすると二文字で、発音すると一秒もかからない、
そんな大抵の人が見逃してしまう、そのコトバとゆっくりと話す。
そしてそのコトバのピュアな部分を少しずつ少しずつ、見つけ出していく。
彼は最後にこうやって言って会話を締めくくるのだ。


「君は、アオハルだね。うん、アオハル。透明感があって素敵な響きだ」



(友人に借りた、SUPERCARの解散時にスペースシャワーTVでやった特集のインタビューより)
(言葉は全てジュンジ君のもの。なにもかも格好良くて、僕はとても困ってしまった)