syrup16gのラストアルバム。涙がこぼれて、文字が滲んだジャケット。
何にも書いてない、そのあまりの白さが、意味を拒んでるみたいでとても悲しい。
「早速矢のように やる気が失せてくねえ」とはじまるのは「HELL-SEE」で、
最初から全否定するっていうのはシロップの良く使う方法だけど、
「結局俺はニセモノなんだ 見せ物の不感症」ってとうとう、
シロップ自身を否定することで始まってしまう、セルフタイトルのラストアルバム。
電車の中で歌詞カードだけ読んだけれど、ジャケットのように、真っ白――何もなかった。
今までのシロップには、絶望の中でも何かを攻撃してやるって意思があったけれど、
今回はそれすらなく、ただひたすらに「何もない」を歌っている気がした。
綺麗な終わり方とはとてもいえない、消化不良で迷ったまま消える、そんなアルバムだと思う。
でもそれがシロップらしい終わり方なのかもしれない。
メロディには優しさとか救いがないわけじゃない。けど、言葉で全部否定してしまう。
本当に、ニセモノだったのかな。
本当に、すべてをなくしてしまったのかな。
本当に、確かなものは何一つないのかな。
本当に、つかめなかったのかな。
もう一度、このアルバムを聞いてみよう。そうすれば。そうすれば。