GAME/Perfume

GAME(DVD付) 【初回限定盤】
ネットなどで一年前ぐらいからじわじわ話題を集め、ようやくお茶の間までブレイクが達した感のある、中田ヤスタカプロデュースのアイドルユニット、初のオリジナルアルバム。


僕は、中田ヤスタカの凄いところは、そのポップスでもテクノでもない、茶の間でもクラブでも原曲のまま通用しそうな絶妙なバランス感覚だと思ってます。そして、このアルバムでもそれは遺憾なく発揮されていました。付け加えるならば前半はポップス寄り、後半の曲はテクノ寄りって感じです。


中でも、いろんな意味で話題になった「ポリリズム*1から始まる、前半の曲はシングル中心というのもあって凄くいいです。僕は「ポリリズム」とか「セラミックガール」の、曲全体ではポップスなのに、突然間奏とかでそれを逸脱したような壊れた展開が始まるときの、「おいおいこれ大丈夫か?」みたいなスリリングさが凄く好きです。


そしてこういう曲が売れていくうちに、今までポップスにしか興味なかったような人のいくらかが、テクノの領域に足を踏み入れていったらいいなと、そういう架け橋になればいいなと僕は思っていて、そのために、このアルバムは売れないと意味がない(というと語弊がありますが)、週間一位なんて軽く取れちゃうぐらいに売れまくって欲しいと思ってます(そして実際そうなりつつある事が嬉しい)。


ただ、それを思うと、後半のどちらかというとテクノサイドな楽曲達はPerfumeのアルバムにはいらなかったかなと思います。「Take me Take me」とかはcapsuleと違いがない気がするし、このあたりの曲たちは、僕なんかは聴いていて凄く心地いい反面、「セラミックガール」みたいな曲に比べて、ちょっと行き止まり感があります。


というわけで、すごく新しくて面白い曲の入っている反面、この「新しさ」はこの先も続いていくのかどうか、と不安になる曲もある、というアルバム。とにかく、僕は中田ヤスタカ氏のバランス感覚に惚れ込んでいるので、Perfumeには洗練の域に入ったテクノ的な曲ではなく、「ポリリズム」とかそういうあくまでポップスのフィールドで戦っている曲のその先を期待します。そして、普段テクノを聞かないような層まで巻き込んで売れてくれれば、それほど嬉しい事はありません。

*1:Underworldの「Two Months Off」をコードはおろかシンセの鳴らしかたまでほぼパクってるというすげえ大胆な曲