犯人は人間だった。

秋葉原の殺傷事件を知って、僕はなんとなく、
犯人をまったく自分たちと違う存在と位置付けていたように思う。
きっと神様がプログラミングミスして作ってしまった、そんな存在なんだろうと。
僕等とはまったく違うんだろうと。


今日、犯人が秋葉原に行く前に書き込んでいた掲示板が見れるサイトを見つけた。
それを読んでいたときに、一つの見覚えのある言葉を見つけた。


http://www11.atwiki.jp/akb_080608/pages/26.html

06/05 06:47
美しくなんかなくて
優しくもできなくて
それでも呼吸が続くことは許されるだろうか

06/05 06:56
その場しのぎで笑って
鏡の前で泣いて
当たり前だろ
隠してるから気づかれないんだよ


突然でよく分からなくてぐぐってみたら、
それはBUMP OF CHICKENの「ギルド」の一節であることを思い出した。
思い出したとき、全身に鳥肌がたって、背筋が凍った。


そしてとても、悲しくなった。


……別に、バンプを聞く人間に悪い奴はいない、なんてバカなことを考えたわけじゃない。
でも、バンプを聞く人は人間で、その歌詞に何かを感じて掲示板に書き込むのも人間だ。
僕は何か勘違いしていたんだと思った。あの事件は天災でも神様のプログラミングミスでもない。
人間が起こしたこと。そんな事分かってたつもりだけど、どこか分かってなかったんだと思う。


もちろん犯人のしたことは、どれだけ理由を積み上げても許されることじゃない。
けれど「あいつは狂人。人外。すぐ死刑にしろ」で終わる問題でもないことを思い知った。


まるで別の世界で人外が起こした出来事のように、「怖いね」と書いていた自分が一番怖かった。


どうして彼はあんな出口のない、一方通行の洞窟みたいな思考に、
ずっと潜っていくような状態になってしまったんだろう。
それを考えなければいけないと思った。