ノイズとセックス(my bloody valentine復活)。

Glider
復活する、リマスター盤でる、新作は年内発表、ライブする……


と、何度も言い続けて、それが一度も本当になったことがない、あの狼少年バンドマイブラが今度こそ復活して、なんとフジロックに来るらしい。


僕は諸事情で今年のフジには行けないので、「なんで今?」という気持ちがあったのだけど、なんだかどのみちキャンセルになるんじゃないかなんてどこかで思っていた。まあ、そうして自分の心を落ち着けてきたんだけど、何気なく読んだ音楽雑誌に、もうすでに復活ライブをやったということと、そのライブレポが書いてあって、今回こそ本当なんだ……と嬉しいような、やっぱり「なんで今?」というような複雑な気分になった。


そのライブレポがまた凄まじい。なんと来場時に耳栓が配られるらしいのだ。そして、恒例の「You Made Me Realize」のノイズパートでは、ノイズにノイズを重ねるような凄まじい音響空間が形成されていて、耳を塞いで耐えていた人もいたとか、どうにかなりそうなくらいの恐怖と、そしてありえないほどの恍惚を同時に味わって、次の日ばかでかい耳鳴りが止まなくて、でもフジが楽しみとか、そういうことが熱っぽく書かれていた。


僕は、やだなあそんなライブとか思いつつ、すごく興奮していた。僕がライブで耳鳴りを経験したのは、Mogwaiの時。「この音は耳の機能ギリギリだろ」と思った、そこからさらに音量が上がった時、相当恐ろしかったことを覚えている。案の定「きーん」という耳鳴りが次の日の朝まで続いた。


しかし、そのレポでははっきり書かれていた。「Mogwaiより凄い」と。


……そもそも、音楽にノイズを入れ始めたのは誰なのだろう。アコギの弦を押さえる時の「キュッ」という音すら我慢できないという友人Aなら、音楽に意図的にノイズを入れるなんて間違ってると言いそうだが、理由はある。残念ながら、ノイズは基本的に気持ちいいのだ。


というかそもそも考えてみて欲しい。「気持ちよさ」とは、痛みと非常に近いところで繋がっている事が多い。例えば、セックスなんかまさにそう。狭い穴に硬いものを入れてそれをこすらせる。こうして表現を変えて文字に起こせば、狂気の沙汰にすら思える。この行為がどれだけ暴力的で、痛みと紙一重なのかわかるだろう。


だから、セックスを音で表現した、なんていわれてるマイブラがノイズを取り入れたバンドなのは当たり前で、ノイズが気持ちいいのだって、当たり前なのだ。


と、必死でノイズをセックスと絡めて理屈づけたところで、僕はライブにはいけないのである。まあ、耳栓してまで聞きたくないしね。かといって耳鳴りもゴメンだし。でも「Soon」とか「Sometimes」とかもやったらしいよ。みんな「Soon」では腕を広げて恍惚の表情を浮かべていたんだって。いやいや、麻薬パーティかよ。そんなの行きたくないし。あ、フジでは新曲もやるかもって噂だよ。ふーん。へえ。そう。別にうらやましくなんか、ないんだからね。