C君とD君とEちゃんの話。

「Eちゃんが好きだ。付き合って欲しい」C君が言った。
「Eちゃんが好きだ。付き合って欲しい」D君が言った。


Eちゃんが言った。「C君ごめんなさい。私はD君と付き合うことにするわ」
C君は言った。「よかった……。安心したよ」


C君は不思議そうな顔をする二人にこう言った。


「どうしようかと思ってたんだ。Eちゃんが僕を選んだら。
そうしたら僕はD君に嫌われてしまう。恨まれてしまうかもしれない。
僕はEちゃんが好きで、ふられたのはとても悲しい。
でも僕はそれ以上に、人に嫌われるのがとてもとても苦手なんだ。
人と望みが重なってしまったなら、君が叶わないより僕が叶わないほうが好きだ」


「本気で言ってるのか?」D君がいぶかしげに言った。


「うん!」C君はそうやって返事した。


D君はC君を殴った。C君ははぐきを切って、口に血の味が広がった。


「悪い……。でも俺はお前のことが嫌いだ」そうやって、D君は言った。


C君は意味が分からなかった。D君に嫌われて悲しかった。
EちゃんとD君は手を繋いで、ゆっくりと視界から遠ざかっていった。
C君はふられたのと、嫌われたので物凄く悲しかった。
血の味を感じながら、どうしてD君が僕を嫌いになったのか考えてみた。
考えても考えても分からなかった。おかしいな。僕は何も望んでないのに。



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C君が僕。