金原ひとみ×二冊

蛇にピアス」はまだ読んでいません。


アッシュベイビー


・アッシュベイビー


サイアク。でも、嫌いじゃない。という感じの小説。幼児性愛者と獣姦がしっかりでてくるので、そういう言葉に無条件に拒否反応を示す人は読まないほうがいいです。


文章はとにかく畳み掛けるような勢いがあって、ドライブ感とともに気持ち悪さを感じながらも最後まで読みすすめると、その流れがブチリと途切れ、その時になんともいえぬ快感があり、そして思い返すと体の中には何も残っていない。うーん、ありですね。


そして、最後はAmazonを開き、怒りと共に星ひとつをつけた読者レビューを、ニヤニヤしながら気が済むまで見ると、またいい感じ。とかいって。


星へ落ちる


・星へ落ちる


これは上の本よりもかなり丁寧に書かれている短編集。短編集だけど視点が変わるだけで物語としてはほぼつながっています。最初の短編が一番すっきりとまとまっていていいです。冒頭の会話はちょっと共感できたりも。


なんというか、ナチュラルに病んでいる感じがとてもいいと思います。別に特別なことはしていない。ただ大好きな恋人がいるだけ。けれど、どこか壊れている。とても自然に壊れている。その静かな病みっぷりが、女性にしか書けない気がしました。


金原ひとみさんの小説は、「大好きな相手」がほとんど見えず、大好きなあの人を見ているようで、その実どんどん自分の中の無限ループにくるくると落ちていっている感じがしますね。「AMEBIC」と「蛇にピアス」も読んでみたいと思います。



それにしても、新装版「69/村上龍」のあとがきで、金原ひとみさんは

パチンコ屋の休憩室でランボーの詩集を読んでいた

と書いていましたが、おいおいそれはいくらなんでも格好良すぎるだろ、と一人で突っ込みをいれていました。ちなみに村上龍氏はこの行為を「科学的に世界の成り立ちを知ろうとする行為」と評していたことも付け加えておきます。