風邪と戦争。

風邪を引いたから早く寝ようとして、ベッドにこれ以上ないくらい早くもぐりこんだけれどやっぱり眠れない。すると僕の少しだけ熱を持った頭にはいろいろなことが浮かんできた。


今まで受け取った言葉達。価値観の違う言葉達。抑圧的な言葉。高圧的な言葉。上から目線の言葉。嘘の褒め言葉。そのすべてに僕は怒りをぶつけていた。ベッドの中で。頭に浮かんだ熱に任せながら。そして一つ一つを、醜い罵りの言葉とともに論破していった。


そして目はどんどん覚めていく。熱は冷める気配が無い。僕はベッドから起き上がり、こんなことをしていてはだめだ、僕には休息が必要なんだ、どうしたら寝れるんだ、と考える。考え続ける。そして、頭の中に浮かんだたくさんの言葉に対する論破の言葉をすべて吐き出したら眠れるかと思って、こうしてパソコンの電源をつけてブログを開いた。


しかし、そのときにはもう怒りはどこかに言ってしまい、その論破の言葉たちは理論的に撃破しているのではなく、こちらが気持ちよくなるようにただ激しく暴言を吐いてるように思えて、僕は途方にくれてしまった。まだ頭の中に文章はある。しかしこれをそのまま吐き出しても伝わらないことが分かってしまった。それどころか、揚げ足取りをされて相手側を有利にしてしまうのがオチだ。


僕は消えてしまった怒りを恨み、それでも頭痛が治らない自分を恨み、そして、論破させないまま僕に嫌な言葉を残した奴等を恨んだ。それはとても不毛で、不毛で、不毛すぎて、夜が空けるまで続きそうなうんざりする行為だった。そして思った。きっと、言葉は人を殺せる。不毛で、無意味で、行き場の無い迷路に人を閉じ込めることで。