ZAZEN BOYS/54-71 at 愛知大学

しかし愛知大学って遠いのな。チケット安かったのに、電車代で結構かかった。


会場は15分前に行っても結構すいていて、かなり前に陣取れた。まわりは学園祭ついでかカップルが多くて、それもロックオタク然としたカップルじゃなかった。付き添いと言う感じではなくしっかり女の子もノッていたので、なんだかZAZEN BOYSを聴く層が広がっているのを感じた。でもZAZEN BOYSのライブにカップルでくるとかないぜ。まったくもう。


最初に「ZENZA BOYS」のTシャツを着たゴリラがでてきて、そのあとなんか一時代前のディスコダンサーみたいなてらてら格好をして顔がつるつるのお兄さんが「MATSURIスタジオから、MATSURIセッションをへてやってきました、ZENZA BOYSです」って挨拶した。あまりに滑稽だから本当に前座かと思ったら音が鳴ってすぐに分かった。この人達が54-71か(顔知らなかった)。


ボーカルは変な格好して、MPが吸い取られそうなパントマイムをしながら叫び、やたら音数の少ないドラムと、ばかでかいベースと淡々としたギターを、いかにも冴えない男達が鳴らす。そのまわりではゴリラがなんかわたがついた棒で叩いたりしてる。いかにもアングラな雰囲気のライブなんだけど、しかし。


無音がやたら格好いい!


ZAZEN BOYSのそれともまた違う、音数の少なさから起こる必然のような無音。ソリッドでかなり格好よい。これにはやられてしまった。鳴らさないのをここまでストイックに聞かせるとは。このストイックさを違う方向に向ければ、普通にメジャーでも戦える気がした。ホント、曲の無音部分の迫力(なんか矛盾してるな)だけでいいライブと思えた。周りの狙っているアングラ感はおまけ要素って感じかな。というわけでわりと楽しかったけど、ヴォーカルは歌い方変えて完全に楽器に成り下がって迫力が減ったので、あの祈るような高音のがいいな。


その後はZAZEN BOYS。「Asobi」から始まったんだけど、今回のザゼンのライブは、本当に吉田一郎のためにあるようなライブだった。「4」で曲がシンプルになった分、やはりベースがかなり目立つ。町田のヤンキーほどフリーキーではないけど、渋く魅せる。格好いい。ライブでも吉田一郎が一番楽しそうに弾いていたように思う。完全に花開いたなあ。


で、僕は「Honnoji」を一番楽しみにしていったのだけど、それよりも「I Don't Wanna Be With You」や「Daruma」のがよかったと思う。音響がさすがに学園祭なので、キーボードの音色は今ひとつだったけど、あの演奏の「音が一体になって迫ってくる感じ」が、十二分に味わえるのであまり気にならなかった。


豊橋で大雨にやられて電車が止まり、とりあえず降りては見たものの席は満室で、仕方ないからラブホで寝た、っていう話を向井節で語った後は、お約束の「Riff Man(移民の歌)」。この演奏の一体感は相変わらず素晴らしい。ため息が出るくらい格好良かった。


前みたライブより、地味にレベルアップしている気がした。さすがザゼン。今のザゼンにはアヒトがいたころの「お祭り騒ぎ的な熱いテンション」はないものの、非常にクールで向井氏が当初から目標にしていた「法衣を着たレッド・ツェッペリン」には近づいていると思った。ただ、若干オシャレすぎるかな、という気もしたので、これからソリッドさを保ったまま、もう少し初期の熱さも取り入れてくれるといいな。