大学生2

自分の曲をMIDIからDAWに打ち込みなおす作業をしながら、なんとなく大学生活に関するホッテントリを漁っていたのだけれど、「大学は自ら学ぶところだ!」と手厳しい意見ばかりが目に付いて、ふと自分を見直すと悲しくなってきた。


中途半端で平凡な僕は、勉強に打ち込むわけでもなく、かといって遊びに遊びつくして人生の休暇を満喫しつつコミュニケーション能力と人脈と親友を得た、ということもなく、どっちつかずに過ごしたまま大学を終えようとしている。


大学一年生にもう一度戻りたい! そう切に願うけれど、よくよく考えてみれば後悔の種類が変わるだけで結局四年後には同じことをブログに書いていそうだ。それも、今の記憶を残したまま大学一年生に戻れると仮定しているのに、なのだ。


きっと、一年生の時点ではそれなりに「お洒落だね」ぐらいは言われるかもしれないが(四年分の服の知識があるからね)、結局それがどうしたという話だし、三年後に初音ミクブームが来ることを見越して、DTMを先回りしてやるのにも限界がありそうだ。


結局そんなブームがなくたって、音楽を作るのが大好きだった人達とは作る姿勢からしてなんか負けている気がする。だいたい一年のときから音楽ツールとか持ってたら、それが楽しすぎて元カノと出会えなかったんじゃないか、彼女ができないまま大学生活が終わっていたんじゃないか、と思うと恐ろしい。そんな僕だったら一体どんな歌詞が生まれてくるんだろうか。やり直したのに、後悔が増えたらもうどうしようだよ。


僕がこの大学生活で後悔していないこととして最初に思いつくのは、元カノと沖縄の離島に旅行に行ったことだ。バスに乗り遅れて、仕方なくレンタカーで回った最後の日。僕と彼女以外には誰もいない海岸。どこまでも青くて、青くて、もうこんな「青くて」をいくら繰り返しても伝えられないくらいで、真っ白な砂浜には真っ白な貝を背負ったやどかりがいそいそと歩いていた。


もう一度大学生活をやり直したとしても、あの離島旅行だけは繰り返したい。でも、僕が過去に戻ったら歴史が変わってしまっていて、海岸には僕らだけではないかもしれない。雨が酷くてとても海岸になんていけないかもしれない。やどかりはいないかもしれない。


なら、これでいいのか。そっか。そうなんだろうな、きっと。