マジカルミライ 2017 9/3 午後に10周年の初音ミクをみたよ

初音ミクのライブってそれぞれ色があって。

ニコニコ動画の雰囲気と演出が主体のボカロライブとか、都内で行われているボカロDJのライブとか、いろいろあるんですけれど、その中でも特に「ミクがそこにいる感じ」を大事にして演出するライブ、というのがマジカルミライ、というイメージ。

つまり、ミクは早着替えも空飛びもなんでもできるけれど、それをあえてしないで、基本的に制服で踊りながら歌う、という演出をするのです。

今年の初音ミク10周年、とりあえず、10年経ったミクさんを見るという意味では、このライブがベストかなと思って見に行きました。

 

席は真ん中の後ろの方。ミクはとっても小さくしか見えないけれど、そのせいもあってもうミクがそこにいるようにしか見えない、というのが後ろの席のいいところ。

なんか普通にミクがライブステージにいるような感覚にどきどきします。

 

選曲はミクのテーマソングとも言える「みっくみっくにしてあげる」のロングアレンジ版からはじまり、やはり10周年ということで、初音ミクをボーカルに据えた名曲が多かったように思います。

 

マジカルミライは初音ミクというアイドルのライブという感じなので、僕好みのアーティスト性が前面に出た曲は少なめなのですが、それでも、

・おもちゃ箱のような音がどこかエレクトロニカっぽい「ツギハギスタッカート」

・北欧のキラキラした音とメロディがどこまでも美しい「Birthday」

・90年代のロックを歌いこなすMEIKOが格好いい「忘却心中」

のような曲を選んでくるところに、選曲者の愛を感じたり。

 

そして僕が一番期待していた過去曲アーカイブ5曲。毎日セトリが違うとのことで話題になりましたが、千秋楽の5曲は、

・お茶の間についにミクを届けた「千本桜」

・ボーカルを変えるとアレンジも変わる試みがオシャレな「右肩の蝶(レンver.)」

・アイドルにはそぐわないガチロックでリンのキンキン声が生える「孤独の果て」

・どういう発想からこの曲ができたか謎な「いーあーるふぁんくらぶ」

・ダブルラリアットという言葉から「自分の手の届く範囲」を歌うという発想が鮮やかで感動的な「ダブルラリアット

と、いう感じで、右肩の蝶とダブルラリアットが聞けたのが特に嬉しかったですね。というかダブルラリアットのだんだん手の届く範囲が広がっていく歌詞が初音ミクの10年と重なって勝手に感極まってました。もうだめだ、思い入れが強すぎて冷静じゃない。

 

そこからは新しい曲達を挟み、メルトで一旦閉め。メルトのギターをアンプに刺すイントロの音、何度聞いてもいいですね。ギターをアンプに刺す音から始まるのに、そのあとの音が電子音から始まるのすごく面白くないですか?

 

アンコールは、実に皮肉な10周年のプレゼントで、そのヒップホップなノリが異彩を放つ「砂の惑星」とlivetuneの曲で大団円。

 

アンコール2は、歌詞が前面に映し出されて、みんなでハジメテノオトの合唱でした。いや、10周年でこの曲が使われるのはもはや予想通りなのですが、会場でみんながミクと一緒に歌い始めてやっぱり泣いてしまいました。この曲はそもそも「機械が感情を理解しないゆえの純粋さ」という僕の弱い部分を刺してくる上に、

変わらないわ あの時のまま

ハジメテノオトのまま

という歌詞が10年越しに響くのだから、それはもう無理というものです。ボロボロでした。

 

そして。最後にミクが挨拶したのですが、嗚咽に耐えながら泣きながら話すという演出(ここはあえて僕は演出と書きますよ)があって、なんだかちょっとくすっと笑ってしまいました。

 

基本的に話すのは苦手で、初音ミクに自然に喋らせるのは本当に一部の人しかできなかったところから始まったミクが、10年の時を経て、声優さんの演技をトレースして、本当に涙声で話すことができるようになって。でも、それはやはりトレースで、どこか初音ミクの本当の声(初音ミクの魂のようなものがどこかにあるとして、ですが)ではないような気がして。

そんなぎこちなさが、ふとかわいいなと思ったのでした。

 

初音ミク10周年。何かが変わるようで、実は何も変わらないのかも。

今でも、ミクはぎこちないし、早口は得意だけれど感情を表現するのは下手だし、

でもそんな彼女にしか歌えない歌があって、

その彼女が歌ってくれることによって、

これまでかかえこんでいた自己を表現することができた人たちがいる。

そんなことを改めて感じたライブでした。

 

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追伸

親切に後ろから肩ポンポンしてくれて「キンブレ(光るやつ)使いますか?」と言ってくれて、使い方に迷うたびに後ろからさらに肩ポンポンして教えてくれたお兄さん、本当にありがとうございました!

お兄さんのおかげで10周年にサイリウム振れなかったという、心のしこりを残さずに済みました! これからは、物販で買えないことも覚悟して予備持っていきます!