GODZILLA 怪獣惑星 を見たよ

ゴジラ映画というのはそれはそれはたくさん作られていまして、

動員数が振るわず打ち切られても必ず誰かが復活させるという点では、

まさにゴジラのごとく不死身の幸せなコンテンツなのだけれど、

たくさん作られているからゴジラの「定石」というのは複数あって、

「これこそゴジラ映画」という条件は人それぞれ異なるのである。

 

この映画の「これこそゴジラ映画」という要素といえば、やはり、

宇宙人が出てくるハードSFという部分である。

しかし、これは僕のようなゴジラオタクはともかく、

大衆受けはそんなによくない要素なのだ。

 

ゴジラ映画作品の一覧 - Wikipedia

上記サイトから、宇宙人要素が入っているゴジラ映画を抜き出すと、

怪獣大戦争X星人

怪獣総進撃:キラアク成人

・地球攻撃命令・ゴジラガイガン:M宇宙ハンター星雲人

ゴジラ対メガロ:同上(名前のみ)

ゴジラ対メカゴジラブラックホール第3惑星人

メカゴジラの逆襲:同上

ゴジラ2000 ミレニアム:ミレニアン

ゴジラ FINAL WARSX星人

なのだが、なんとなくパッとしないラインナップだと思わないだろうか。

 

昭和ゴジラは邦画不振による予算削減と、

過度な子供狙いによる陳腐化が蔓延してた頃の作品が多く、

ミレニアムシリーズはすべてパッとしない。

逆に、快進撃を続けた平成のVSシリーズでは、未来人や小美人はでてくるものの、

宇宙人は一切出てこなかったりする。

 

というわけで、ゴジラが宇宙人を取り扱う時には、

あまりヒットしないの法則があるように思う。

 

ゴジラはそもそも生物のくせに放射熱線というビームを吐くSF生物なので、

ゴジラがいる世界には宇宙人だっていていいだろというのは、

至極妥当な論理だと思うのだが、

ヒットしている噂を聞くとゴジラを見にいくようなライト層には、

宇宙人まで出してしまうと荒唐無稽な印象になるのかもしれない。

未来人や小美人はセーフでもね。

 

さらに悪いことに、今回のゴジラは緑に侵食されきった10000年後の地球がテーマだ。

これも売れないゴジラ映画にありがちで、

都市部の破壊がないゴジラ映画はヒットが少ない。

やっぱりゴジラには街を蹂躙して欲しいものなのだろう。

 

しかし、個人的にはこれらのネガティブ要素が合っても結構楽しめた。

それはやはり虚淵氏得意の「仕掛け」が大きい。

この映画は、90分間ほとんどがすべてフェイントでできているのだ。

まどマギの3話までをまとめた映画というと正しいか。

最初の方の地球を捨てて宇宙に旅立った人類の辛気臭い旅描写も、

(白状するが僕はここで少し寝た)

再び地球に降り立ち、ゴジラと貧相な武器で頑張って戦う場面も、

すべてはフェイント要素でしかないのである。

 

この映画の見所は最後の10分にある。

真のゴジラが地中から現れ、全員がなすすべもなく敗走し、

傷ついた主人公がメカゴジラの断片とSF的美少女を目にする。

 

マミさんが首を千切られて

「これはハッピーな魔法少女ものではなくハードSFです!」と

宣言したシーンさながらに、

 「これはハードSFではなくゴジラVSメカゴジラの三部作バトル映画です!」

 と宣言するのである。正直、しびれた。

男の子はいつになってもメカゴジラと美少女に弱いのである。

 

とはいえ、実はメカゴジラというのも、その知名度に反比例し、

こけた映画の方が多いゴジラ要素だったりする。

実は、大成功したメカゴジラって平成のVSメカゴジラだけで、

そのあとは釈由美子乗せたりして散々なのである。

(まあ、僕は機竜も結構好きなんだが・・・)

多分、モスラキングギドラに比べて女の子に響かないから、

「家族受け」しないんだろうと思う。

 

だから、この映画三部作は切ないことにきっと最後までヒットしないだろう。

しかし、シン・ゴジラが王道要素でヒットすることを見越し、

ゴジラ映画のニッチな要素側で突っ走ろうとするその「オタクっぽさ」と、

まるまる一作を三部作の序章として贅沢に使った仕掛けは、

さすがの虚淵氏の匠の技が光っていて素晴らしいと思う。

眠くなる宇宙船部分はもう少しなんとかなった気がするけれど、

まあ、まどマギも2話だけ見てるとだるいしこんなものかも。

 

さて、次回は「決戦起動増殖都市」。

タイトルだけで500点だ。

これでメカゴジラでてくるはずだと思うとわくわくが止まらない。

多分今回より上映館数減るけれど、

多分今回より楽しみにして僕は初日に見にいくのだろうと思う。

 

 

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