弱さとドラゴンボールと

ドラゴンボール―完全版 (16) (ジャンプ・コミックス)
昨日、ひょんなことから二人の友人に、ドラゴンボールトークを持ちかけたところ(最近全巻読破して調子に乗ってます)、二人とも同じ感想を言ったので、なんだか面白かったです。とりあえず二人は、このコラムに共感してくれる人が居るわけですね。さてその意見とはこちら。


ドラゴンボール面白いよね」
「でも実際、展開は途中から似たり寄ったりだよね」
「そうそう、天下一武道会でピッコロに勝ったあたりから


だいたい敵がパワーアップの兆候を見せて、
今のままなら勝てるってみんなで阻止しようとするのに、
ベジータが『俺はもっと強いやつと戦ってみたい』とか言って、
敵を強くしてしまった挙句、すんなりと負けて泣き崩れる


ってパターンだよね」
「でも、そんなベジータが人間臭くて一番好きだよ」


僕がドラゴンボールについて話しかけた二人の友人が、ほぼ一字一句違わずに、最後の言葉を言った時はもうなんか感動しましたよ。そして僕も、その言葉にうんうんとうなづいたのでした。(読んでいる最中は、もう夢中も夢中なので、どんどん状況を悪化させていくベジータにイライラしてたのも事実なんですけど。しかし良く考えたら、敵が強くなる前に倒すとか、なんだか漫画的に煮え切らない展開だよなあ)




ところで、小さい子供っていうのは、やたらヒーローに憧れます。幼稚園の学芸会を思い出してみてください。「主役をやりたい人は?」と先生が聞けば、こぞって手を上げるみんな。かく言う僕も、手を上げるタイミングを間違えて、主役「ピーマンマン」を逃し、「バイキンA」の役になったときは心の奥底で泣きましたね。


それが、だんだん中学、高校、大学と行くうちに、主役から少しずれたキャラが好きになっていく。プライド高いし、そのくせ敵わないと知ると泣くし、いつのまにか子供作ってるし、すぐ怒るし…そんなベジータが好きになる。それは、どうしてなんだろうな。


いつのまにか自分の弱さを自覚し始めたから?
完璧な人間が必ずしも完璧じゃないことに、気がついたから?
単純に人間性がひねくれたから?


その答えは良く分からないけれど、とにもかくにも僕はベジータが好きです。まあいいや。



ドラゴンボールの演劇を大学生の僕らがやることになったら、一体誰が人気になるんでしょうね。もちろん僕はベジータ役として、本当は敵わないのではないかとうすうす感じながらも、「カカロット、お前を倒すのは俺だ!」と高らかに言い続けたいものです。といっても、きっとベジータなんて格好よすぎて僕の器じゃないので…まあこの際ミスターサタン役あたりになって、魔人ブウと仲良くやっていきますよ。