MUSE JAPAN TOUR 2007(at Zepp Nagoya)

個人的な話をすれば、僕は一度見たアーティストを何度も見たいとは思わない性質だ。やはり生ライブの衝撃と言うのは、最初が一番大きい。よって、サマソニで見たMUSE(その時の感想はコチラ)にしても、二回目は見ないつもりでいたのだが、友人の強い希望により、もう一度参加する事になった。


そして結論からすれば、二回目にしてライブの衝撃は薄まるどころか、ますます印象深くなった。これが外国でも何個も賞を受賞してライブを評価されているバンドの力なのだろうか。


会場に入ると、最前のスペースに移動する。こんな近くでマシューが見えると思うと、二回目なのに期待感からかなんだか緊張した。それからあまりたたないうちに、会場はほぼ満員になった。SEには、Flaming LipsやKasabianなどわりとなじみのある楽曲が流れていた。僕の後ろにいた男の人が、「MUSEのライブは五回目で、今週はずっとこのことを考えていた」と熱く語っていた。


そして数多の歓声とともに、ついに電灯が落とされて彼らが入場してくる。
(以下セットリストあり)


始まりはなんと、「Knights Of Cydonia」。サマソニではトリを飾った曲をいきなり持ってきたのには驚いた。もちろん、会場の温度は一気に上がる。後半部では後ろのスクリーンに歌詞が映し出されて、観客席からも歌が聞こえてくる。もはや会場はMUSEのものだ。


この曲ではかなり近くでマシューを見ることができたのだが、彼は掘りが深く、冷静に見てもイケメンだった。そして、カリスマ的なオーラをばしばしと放っていた。男すらもやられてしまいそうな色気だ。「Hysteria」のギターソロではまるで銃の乱射のように、ギターを上下に振る。どうしてあんなふうに動きながらギターが弾けるのだ。


そして、激しい曲で最後まで突っ走ったサマソニとは違い、今回のセットリストには緩急があった。シンセの音で、神聖な雰囲気を作り出して始まった「Sing For Absolution」から、一曲の中に緩急の流れを二回詰め込んでいる中身の濃い「Citizen Erased」が来る。


そしてピアノ(いろんな音を出していたから正確にはピアノではないかも)を前に運んできてから、気怠い「Feeling Good」と、耽美的でロマンティックな「Sunburn」をプレイ。個人的にはこの流れには感服した。MUSEの持つ美しいメロディと退廃的な雰囲気が引き出され、バンドの奥深さを物語っていた。MUSEは激しい曲だけの単調なバンドでは断じてない。


そして、大好きな1stアルバムからやってくれた「Sunburn」が聞けただけでも、僕が二回目にここに足を運んだ意味はあると思える。ゴシック調のピアノが鳴り響く、本当に美しい曲だ。きっと、こんなにも大きなバンドになる前からMUSEを追いかけていた人は、今、この曲を聞けるということがとても感慨深いことなのではないだろうか。


そしてその厳かな流れを引き継ぎつつも会場をまたヒートアップさせた「Invincible」。バックスクリーンに映る世界の映像(戦争の場面も織り込まれていた)とマッチして、感動的な瞬間だった。「一緒にいれば、僕達は無敵だよ」というフレーズが胸に響いた。


その後は「Plug In Baby」、「New Born」、「Stockholm Syndrome」と一撃必殺の曲オンパレードでアンコールまで突っ走り、最後は「Take A bow」で締めてライブは終わった。まったく、相変わらず恐ろしいくらい格好いい圧巻のライブだ。マシュー様はもはや何をしても格好いいように思える。一人で紙吹雪をあげるという笑えてしまうような行動も、彼ならアリ。あの全身からにじみ出る圧倒的なオーラと、超絶のギター & ピアノプレイ。文句があるとすれば、ピアノの音が少し汚かったことぐらいだが、そんなものバックスクリーンいっぱいに映し出される彼の流れるようなピアノプレイに吸い込まれ、ほとんど気にならなかった。


彼らは僕が今まで見た中で一番格好良いライブをするロックバンドだ。その事実は、揺るがない。

セットリスト
01 Knights of Cydonia
02 Hysteria
03 Supermassive Black Hole
04 Map of the Problematique
05 Butterflies & Hurricanes
06 Sing For Absolution
07 Citizen Erased
08 Feeling Good
09 Sunburn
10 Invincible
11 Plug In Baby
12 Tiro(セッション的インスト)
13 Time Is Running Out
14 New Born


(encore)
00 Starlight
01 Stockholm Syndrome
02 Take A Bow