Minutes to Midnight/Linkin Park

(これは6/9に書かれた記事です。諸事情により日付を移してあります。)
Minutes to Midnight
へビィなギターをポップなメロディとともにお茶の間にぶっこんだ、Linkin Park待望の3rd。


前作からかなり長いインターバルを経て届いた、このアルバム。大幅な路線変更と噂され、その上先行シングルの「What I've done」が個人的にあまり好みではなかったので、あまり期待せずに聞いたのだが、これがなかなか良かった。それからは結構な頻度で聞いている。


ところで、人気バンドの路線変更には二種類ある。「ファンを拒絶する」タイプと、「ファンを受け入れる」タイプだ。Linkin Parkなんかは、自分達の置かれている状況にうんざりしていそうだし、前者を選んで、前二作に一曲ずつ入っているインスト曲のような作風を前面にだすことだってできたはずだ。しかし、このアルバムでチェスターの歌うメロディを聞けば分かるように、このバンドが選んだのは後者だ。


とても誠実なバンドだと思う。壁のような分厚いギターは減り、マイクのラップもたった二曲しか入っていないけれど、「What I've done」はやはりスタジアムのアンセムといえる曲だし、「Given up」などアッパーな曲もある。ただ彼らは、前二作のままの作風では駄目だと感じてもがき、結果としてこのアルバムが生まれた。そこにファンを拒絶する意思はない。


確かに、チェスターの歌を前に押し出した曲達は今ひとつもの足りないし、生音中心にしてはバンドのグルーヴが足りていないし、音自体に真新しさはない。でも、ここで終わりではなく、次の作品でもっとこの路線を発展させ、度肝を抜く作品を作り上げてくる。そんな予感がする。


「What I've done」のメロディは今もそれほど美しいとは思わない。しかし、チェスターのヴォーカルはとても誠実で切実で、美しく響く。それを聞きながら、僕は次回作を心待ちにしている。