20歳の嘘に降る雨

昨日一年半ぶりに(大晦日はサボった)、部屋の掃除をしました。たまった埃の量は、それはもう圧巻で、きっと今日の東京の大雪は、僕の部屋から飛んだ埃だと思われます。僕は相変わらず元気です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。


The Man Who


部屋の掃除と言えば、やはり見つかるのはノスタルジー。開かずの扉だった引き出しを開けてみては、思い出の品を見つけ、こんなこともあったなと、過去を思い出すことは必至。ぶりっ子のし過ぎで同性から嫌われていた女の子からもらった手紙もあり(隣の席で話を聞いていたら何故かくれた)、これにはちょっと笑えた。しかし、手紙の内容は意外とまともで、「あの子は性格はともかく、学校祭での仕事はしっかりやってたよな」とか思ったり。


そして、思った以上に大学の思い出が少ないことに気付いて、少し寂しくなった。これまで大学で何をやってきたのか、今ひとつ思い出せない。ブログの過去ログが増えて、テトリスの腕が上がった他には何をしてきたっけ。その答えは、三年生の授業が始まったら見つかるのだろうか?


気付けばCDは「Why Does It Always Rain on Me?」に差し掛かっている。「どうしていつだって僕の上に雨は降るのだろう?17歳の時に嘘をついたからさ。」というフレーズがやけに心に残る曲。ふとその手を止めて、バイオリンの優しい響きに耳を傾けていた時に、教科書と教科書の間から見つかった、レポート用紙。そこには大学生のはじめに、僕の紡いだ物語の欠片があった。



彼女の名前は、忘れてしまった。



そんな書き出しから始まっている。もちろん僕は、まったくもてるタイプではないので、こんな台詞を言う時など一生来ないと思うのだが(僕の知り合いでも、今その言葉を使えるのは5人)、その言葉の空虚な響きが好きで、いつか使ってみたい言葉でもあった。だから小説の冒頭でとりあえず使ったのだろう。分かりやすいやつだ。


その小説では、新学期に、四季の冬(クラシック音楽)の口笛を吹く女の子と、宿題をするために朝早くに登校して、知り合うという筋書きだった。残念ながら、そんな機会は大学の工学部に所属する僕には、もう一生来ない。そして、夕焼けの中で、右手を血に染めた彼女に謝るというなんとも思わせぶりなシーンで、唐突に終わりを告げた。どうしよう、続きが読みたいけれど、キーボードの上に猫を寝かせておいて続きが書きあがるということもあるまい。


あれ、おかしいな。今日の日記は、この痛々しい書き出しの小説を、自分で面白おかしく批判するつもりだったのに。Travisのアルバム聞きながら書いてたら、方向性がおかしくなっちゃったじゃないか。ええと、なんだこの設定破綻の物語!こんなの中ニ病患者じゃないか!ちゃんちゃらおかしいね、あはは、あははは。


なんていうか、あの時の文章は完全に見る人を意識しない、自分の世界に閉じた文章だった。けれど、それはそれでいいところもあったように思っちゃったのさ。そういえばこのブログだって、初期のが、人間離れした厭世観が感じられて、良かったとか言われたっけ。もちろん、その頃に意図的に戻るなんてことは不可能なんだけど。



あれ?うん。なるほど、そうか。



いや、今ね、自分で言った「戻るなんてことは不可能」って言葉にはっとしてたのさ。それはつまり、僕って曲がりなりにも前には進んでるってことにならないか。そんな解釈もできるな。そうなんだ、それはびっくりだよ。大学のキャンパス内では、テトリスしてた記憶しかなかったのに。


あ、今ちょうど、ブルーのアイポッドミニが「Why Does It Always Rain on Me?」に差し掛かったよ。そろそろ寝るとしようか。それにしても、どうしていつだって僕の心には雨ばっかり振るんだろう。20歳の時に、嘘をついたからかな。







Why Does It Always Rain on Me?/Travis

今夜は眠れないんだ。
みんなが「すべてうまくいってる」と言っても、
まだ目を閉じられないんだよ。
この光の向こうに、僕はトンネルを見てる。
太陽のきらめく日々。
君はどこに行ってしまったんだい?
君が感じていた、とってもおかしな気分が、今は僕のなかにあるよ。


どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
17歳の時に、嘘をついたからさ。
どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
空には太陽が輝いているってのに、
僕は稲妻さえも避けられないんだよ。


僕は、僕自身が我慢できない。
見えない男達に遮られ、
別の何かに目がいっている時でさえ、
人生は棚の上にあげられちまう。
太陽のきらめく日々。
君はどこに行ってしまったんだい?
君が感じていた、とってもおかしな気分が、今は僕のなかにあるよ。


どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
17歳の時に、嘘をついたからさ。
どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
空には太陽が輝いているってのに、
僕は稲妻さえも避けられないんだよ。


ねえ、青空はどこに行ったんだい?
どうして雨はこんなに強く降るんだい?
すごく寒いよ。


今夜は眠れないんだ。
みんなが「すべてうまくいってる」と言っても、
まだ目を閉じられないんだよ。
この光の向こうに、僕はトンネルを見てる。
太陽のきらめく日々。
君はどこに行ってしまったんだい?
君が感じていた、とってもおかしな気分が、今は僕のなかにあるよ。


どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
17歳の時に、嘘をついたからさ。
どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
空には太陽が輝いているってのに、
僕は稲妻さえも避けられないんだよ。


ねえ、青空はどこに行ったんだい?
どうして雨はこんなに強く降るんだい?
すごく寒いよ。


どうしていつだって僕の上に雨は降るんだろう?
雨は降るんだろう?

Words by Francis Healy
Translation by so-na