'dafankfest' 12/8 at 幕張メッセ

ライブレポをすぐに書かないのは、僕の悪い癖だ。


書いている僕は、未だに「TOGETHER」という文字が画面いっぱいに光っている場面がフラッシュバックしてぞくぞくしてくるくらいなので、かなり正確にその時の気分を思い出して書けるとは思う。けれど、一週間たった今、「DAFT PUNK」というキーワードで検索して他人のライブレポを読む人はまれだ。そう、遅すぎるライブレポには需要がないのである。


でもまあ書く前から愚痴を言っても仕方ないので、ネタバレを控えて、DAFT PUNKをあまり知らないあなたでも、なんとなく羨ましくなってくるような文を目指して書くことにする。 2007年12月8日に僕は、(誇張表現でなく)地団太踏んでライブ行きを拒否しようとした彼女をなんとか振り切って、いや、そこまで止められるとむしろ彼氏冥利に尽きるのだけれど、とにもかくにも、幕張メッセにたどり着いた。


クロークに荷物を預け、二階席でアリーナを伺ってみると、ものすごい人でしかも平坦だったので、アリーナで見ることを断念して二階席へ。荷物預けなきゃ良かった。まわりには、二階席だったということもあるだろうが、意外と若者だけでなく中年の方々もいた。前半では腕を組んで座っていたおじさんも、最後のほうでは立ち上がって身体を揺らしていて、なんだか嬉しかった。


そもそもDAFT PUNKのライブだ。楽しくないはずがない。それはCDを聞いていても分かる。シンプルなループや、一言でその曲とわかるセリフ(「One More Time」、「Around The World」)を中心に構成されている曲達。「Robot Rock」なんて、ワンコード。これほどライブ向きのCDを、よく言えばシンプル、悪く言えば普段聞くには単調なCDを作って、それが売れているのだから彼らは凄い。


だが、ライブはそんな僕の想像をはるかに超える楽しさだった。僕は最新ライブ盤「ALIVE2007」を聞かずに行ったのがまた良かったんだと思うけれど、これ以上ないくらい、刺激的に曲が繋げられて、いや繋げられているというレベルではない――「再構築」されていた。


それは「次に何が来るか分からない」ドキドキ感と、「知っている曲をみんなと一緒に大音量で聞ける」喜び、その両方を兼ね備えている、最高の上に、最高を塗り重ねたようなライブだった。カラフルな2nd「Discovery」と、シンプルな1st「Homework」、3rd「Human After All」が組み合わさって、何乗にも高揚感を増した曲達。


その上セットまで豪華で、曲のイメージをそのまま投影したような刺激的な光やメッセージが、意外な形のスクリーンから立体的に映し出されるのだ。幸せすぎてどうにかなりそうだった。いやもしかすると、はたから見たら、もうすでにどうにかなってたかもしれない。主にノリ方とか踊り方が。


Underworldのライブが、大爆発を待ち浴びるライブだとしたら、DAFT PUNKのライブはそこかしこで小爆発が起きるイメージ。両方に行った僕としては、総合的にはDAFT PUNKの勝ちかなと思ってしまった。それぐらい素晴らしかったのだ。


もうこの辺にしておくが、本当に素晴らしいライブだった。彼らが実は地球征服をたくらむロボットで、音楽を通して僕らを洗脳しに来た、といわれたら信じてしまうかもしれない。むしろ進んで洗脳されに行くだろう。それくらいの幸福感を貰ったライブだった。


もしあなたが彼らのライブにこれから参加するつもりなら、事前情報を仕入れず、ライブ盤「ALIVE2007」を聞くのを我慢することをすすめる。もちろん、聞いてからでも十分楽しめると思うけれど、ライブで初めて再構築された曲達を聞くワクワク感は凄まじいからだ。


最後に、ちょっとだけネタバレ。特に最高だった部分をピックアップして。






















「Around the World / Harder Better Faster Stronger」……後半の刺激的な電子音とヴォイスの反復には完全に意識を持っていかれた。帰ってきてから買ったライブ盤でも、一番よく聞いている曲。


「One More Time / Aerodynamic」……例の鐘の音から、「One More Time」が来るなんて反則の不意打ち。この曲の多幸感は彼らのレパートリーの中でも追随を許さない。


「Prime Time of Your Life / Brainwasher / Rollin' and Scratchin' / Alive」……「Brainwasher」は僕の中で反則曲。文字通り脳みそが洗われているようすらに思える。「I am Brainwasher」というロボヴォイスが聞こえてきてから、ずっとあの印象的なベース音が鳴るのを待っていた。


「Superheroes / Human After All / Rock'n Roll」……最初から「Superheroes」に重ねるつもりで「Human After All」を作ったんじゃないかというぐらいの、見事な組み合わせ。カラフルなコーラスをバックに、無機質なロボヴォイスをぶつけるという組み合わせは、もはや彼らの発明だと思う。


アンコール:「Human / Together / One More Time / Music Sounds Better With You / Stardust (Instrumental)」……「Human」と「Together」のライトが目に焼きついて離れない。まさに「One More Time(もう一回!)」という声が僕らの心の声を代弁しているみたいだ。



DAFT PUNKの曲「Emotion」を題材に物語を書いたので、そちらも良ければ。
Emotion
Emotion2