何も意味のない物語

不摂生な生活をして――宿題のために徹夜をして、朝四時まで小説を書いて、
アニメを第一話から見直して、BGMに好きな曲が使われていたことに気分が高揚して、
ウィンドウを閉じるとすぐに冷めて、頭痛がした。


そうやって生きていれば、その頭痛の中に素敵な詩の断片とか、
手に汗握る物語のプロットとかが紛れ込んでくるものだと思っていたのに。
こんにちは頭痛、今日は何を運んできてくれたの?


「何もない」を運んできたよ。


意味のないものは好きだ。意味のないものは意味のあるものより優しい。
意味のあるものみたいに耳元で正しいことを叫んだりしない。
ただ僕の隣でしばらく体操座りをして、ちょっとだけ体温をくれたあと、
いつのまにかいなくなっている。去り際までクール。


でもそうやって意味のないものばかりで周りを固めていると、
その中でもっとも意味ないもの、「夜更かし」がみんなを誘って反乱を起こす。
なあ、こんなご主人様いつまでもあっためててもしょうがないぜ。
もっと意味のない僕達を意味のあるものに昇華してくれる、
そんなご主人様のところにばっくれてやろうぜ。


そうやってみんないなくなった。僕の周りには君しかいなくなった。


君はどうして、そんなかわいそうものを見るような目で僕を見るの?
僕は君がいてくれただけで良いんだよ。
さあ、意味のない、くだらない話をして、寒い冬を乗り切ろうよ。


君は向こう側を未練がましそうな眼で見ていたけれど、
やがて諦めて僕の隣で体操座りをした。
僕は君の好きそうな、意味のない物語を話し始めた。
君はそれを聞いてちょっとだけ嬉しそうな顔をした。


僕はその笑顔に、やっと一つだけ意味を見つけた。