「ファイアーエムブレム 暁の女神」総評

ファイアーエムブレム 暁の女神


さて、長い長い春休みが終わり学校が始まったのですが、その僕の春休みを語る上で決して無視することのできない要素が、この「ファイアーエムブレム 暁の女神」でした。つまり完全に中毒のようにやっていたのです。さすがに、ファイアーエムブレムのために苦手な早起きまでしてしまったあかつきには、自分で自分に若干引きましたが。


そんな「ファイアーエムブレム 暁の女神」の総評を書こうと思います。


正直こんなマイナーなブログで、ドラクエかFF以外のゲームの感想を書いても、そのファンの方の目に留まる確率なんて0に等しいとは思いますが、それでも春休みの半分をこのゲームに捧げてしまった自分に、なけなしの意味を見出すためにも「けじめ」として書こうと思います。


ネタバレを含みます。以下の条件にあてはまる人は決して続きを読まないように!


・これから暁の女神をプレイする予定のある人。
・まだ暁の女神をやりかけである人。
・これから暁の女神の二週目をプレイする人で、かつ二周目のネタバレを知らない人。
・意味のない文章には意味がないと思っている人。
・有意義に午後のティータイムを過ごしたいと思っている人。


■ ストーリー


ご存知の通り、「暁の女神」のストーリーは「蒼炎の軌跡」の続きです。僕はしっかり「蒼炎の軌跡」をクリアしてから、「暁の女神」に取り掛かったのですが、そういう立場の僕からするとすさまじく面白かったです。


特に第三部で、めまぐるしく軍の視点が移り変わる中での怒涛の展開には思いっきり心を鷲づかみにされてしまい、先が気になりすぎて、でも性格上マップクリアを適当にはできなくて―― 完全にジレンマに陥って、本気で悩みました。それぐらい面白かった。さらにはその壮大な話も、風呂敷をひろっげぱなしにすることなく、きちんと第四部で収縮するのも見事としか言いようがありません。


また、これはファイアーエムブレムシリーズの伝統らしいですが、完全な悪役というものが存在せず(……元老院はちょっとそれっぽいですが)、みんなが自分の大切な物を守りたい、と考えた結果戦争が大きくなっていくという部分には、思わずゲームだということを忘れて考えされられました。自分の育てたキャラが敵味方に別れ、見つけ、会話し、憎みあっていないのに守るべきもののために誇りとともに戦うんですよ? 鳥肌が立ちっぱなしでした。


ただ、大好きだからこその苦言もあります。一つに、途中で神という存在が出てきてしまったのは(まあファイアーエムブレムという作品上そういう要素は必要不可欠なんでしょうが)、ちょっと冷めてしまった部分もありました。神様という存在は伏線を回収するにはいささか強引ですからね。


二つ目は、真実を深く知るためには「二周目」をプレイすることが必要不可欠ということです。一周しただけではかなり想像にたよらなければいけないですからね。二週目をして欲しいというスタッフさんの気持ちも分かりますが、せっかく練られたストーリーの根幹を二周目に回すのはもったいないです。


最後に、やはり「蒼炎の軌跡」のプレイが必要不可欠だということでしょうか。人物相関図がついているなど、一応の気配りはありますが、それは結局、上・下形式の小説を、下のみ読んで、上はカヴァー裏の説明だけを読むみたいなものです。ここまで結びつきが強いと、一本一本では弱くなってしまいます。


ただ、これらのマイナス面なんてまったく気にならないくらいに、面白いです。決してムービー数も多くなく、ただ登場人物の立ち絵があり、そこに白文字で台詞が書かれていくだけなのに、引き込まれていく話作りはすごい! いやむしろ、この最小限の演出だからこそ、プレイヤーがその行間から登場人物の息遣い、身を引き裂かれるような気持ちを感じ取れるのかもしれません。とにかくこればかりは一度プレイして確かめて欲しいです!


■ 戦闘


システムに関しては、「蒼炎の軌跡」の正常進化という感じで、良かったと思います。難易度も丁度よいところよりも気持ち難しいぐらいかな、という絶妙のバランスでやりごたえがありました。この作品からはじめて取り入れられたという「段差」の要素も、マップにさらなる深みを与えていて良かったと思います。


ただ、ストーリーの都合上仕方ないのかもしれませんが、緑軍がたくさん出てくるマップが多いのは、少し面倒くさかったです。やはり、兵士は自分の手で動かしたいです。あと、第四部のマップが全体的に単調で、数VS力押しになってしまったのも少し残念でした……。


しかし、相変わらず自分ルールを課すと(例えば、「○○を盗む」とか「○○と会話する」とか)難易度が変わるところが、絶妙なバランスです。僕なんかは変に完璧主義なので、どうしてもやりこんでしまい、ストーリーを進めたい欲求と完全にジレンマに陥りました。人を中毒にさせる面白さがあります。


それにしても、ファイアーエムブレムの「一度死んだキャラは絶対生き返らない」というシビアさが生む緊張感には未だに慣れません。キャラに愛着もわいてしまうので、もう辛くて辛くて……。クリアはしたものの、後々になって自分の失敗に気付き(あそこで会話を見るためにボスを攻撃したのは、下手したら2時間半がパーになる最悪の選択だったなあとか)、肝を冷やす事もありました。


■ キャラクター(全体)・育成


本当に暁の女神に出てくるキャラクターは、美形が多すぎることを除けば(笑)、個性があって愛着がわきます。ただし、「暁の団」の存在の不遇さは少し悲しかったです。もう少し、エディやレオナルドやローラにも個々のエピソードをつけてあげて欲しかった。普通に育てているだけでは、能力的にも空気になってしまうのも辛いところです(かなり意識して育ててあげれば強くなりますが)。


結局は蒼炎の軌跡のメンバー、すなわちグレイル傭兵団が、暁の女神でも主人公だったなあというのが、プレイ後の僕の素直な感想です(グレイル傭兵団は大好きだからいいんですけどね)。そういう意味ではバランスは悪いかもしれないです。


あと、ラグズキャラですが、ゲージの仕様が変わって使いやすくなったのはよかったんですが、育てようと思うと経験値がやたら少なくて大変でした。かなりコツがいりますよね? この部分はもう少し育てやすくしてくれても、よかったんじゃないかと思います。育てるのが難しいからこそ、育てたくなるというのはありますが。




※まだ続きます。