Third/Portishead

Third
10年ぶりに帰ってきたPortishead渾身の新作。


最初の一曲「SILENCE」からいきなりぶっとばされました。なんですかこれ。シンプルで乾いたビート、不気味なベースとストリングス。そして、その後ろでまるで何かを切り刻むようなノイズを鳴らすギター。どの楽器も決して派手なフレーズを弾いているわけではないのに、一音一音の存在感が物凄く、聞き流すことを拒否。


曲全体が静かな、しかし恐ろしい程の怒りに満ちていて、聞いていると冷たい視線に射殺されるようです。しかしそれだけではなく、高揚感が心臓の奥底から、ゆっくりと這い上がってきさえします。


そんな感覚が最初の一曲だけでなく、11曲すべてで貫かれているのだから、もう物凄い。だからといって曲調が似通っているわけではなく、閉塞感たっぷりのアコギに突然キーボードの音が挿入される「HUNTER」、アルペジオが楽器を変えつつ執拗に繰り返される「THE RIP」、ちっとも牧歌的でないバンジョー弾き語り「DEEP WATER」、インダストリアルなリズムの「MACHINE GUN」と多彩。


はっきり言いますが、Portisheadの最高傑作だと思います。ベスのヴォーカルも、歌の居場所がなさそうなトラックの中で、驚くほどしっかり居場所を見つけていて、その音達に負けない存在感を放っています。いつも以上に病んでいて、けれど力強く美しくもあるメロディ。まさに、このトラックにしてこの歌あり。


とにかく冷たく、暗く、息苦しく、しかし聞き流せず、聞き終わるときにぼそっと「格好いい……」と呟くしかないような、そんなアルバム。相当オススメです。日本に来日してライブをやって欲しい。