10年経ってもまだ聞いているボカロ曲10選

初音ミク10周年に神々の遊びが起こっていて、今日のwowakaさんの再訪があまりに嬉しすぎて、気持ちが盛り上がりすぎたので、未だにふとした時に聞いてしまうボカロ曲10選やります。なるべく古い曲を選んでいるけれど、10年経っているとは限らないのはご愛嬌。

nico.ms

■目次

ミクトロニカ -ravioli mix- /林檎

nico.ms

いきなり全曲聞けない曲を選んでしまって申し訳ない。
タイマーをこの曲の始まりに合わせてみたので聞いて欲しい。
この曲の良さを布教したくてこの記事を書いたと言っても過言ではない。
ボカロとエレクトロニカの親和性はもともと高く、
中でもエレクトロニカの名手たるkiichiさんの初投稿曲。そのRemix。
変拍子とうねるベースがうまく合っていて、
ラーラララッラというコーラスの透明感が素晴らしく、
最高のJazztoronikaに生まれ変わった名Remix。

このコンピレーション他の曲もいいので、買って聞いてください。
願わくばiTunesStoreで配信して欲しい。

https://www.amazon.co.jp/retimer-feat-Hatsune-Miku-OSTERproject/dp/B003ZFL1ZU

可能世界のロンド/milestones

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変拍子ドラムンベース
しかもサビがほぼなく2種類のメロディの繰り返しでありながら、
30万再生を叩き出す異常な中毒性を持つ名曲。

こういう曲を生むことがボカロの素晴らしさのひとつだと思うのです。

ふとした時に聞いて頭をゆらゆら揺らしたくなる。
しかも自分が作曲でよく使うGaragebandのエレピとスネアが聞こえる。
同じ音源でなぜこんな曲が生まれるのか。

作曲って魔法なんですかね。

my computer/temporu

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僕は同じフレーズの繰り返しが本当に好きですが、
この曲に関しては本当に特別です。
ディストーションをかけまくったベースとキックと、
とても滑舌が良いボカロの調整が特徴のtemporuさんですが、
この曲はそれだけではなく世界観がとても独特。
初音ミクがプログラムとして(AIとして)、
膨大な記憶を探し続けるような、
機械の持つ切なさとかひたむきを感じるのです。

ボーカロイドが歌うことの価値、必然性をこれでもかと感じる一曲。

Packed Memory In A Small Toy Box/ryuryu

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おもちゃ箱をひっくり返したような、という言葉が、
ここまで似合う曲ってあったでしょうか。
大切な思い出をおもちゃ箱にしまって歩き出す、
そんな切なさを全開にする三拍子エレクトロニカ

ryuryuさんの曲の抜群の透明感と北欧風のメロディに最高に酔える一曲。
レコードだったら擦切れるぐらい聞きました。

ryuryuさんはこの曲もおすすめ。

【初音ミク】Past Days Sparkle【オリジナル】 by りゅーりゅー 音楽/動画 - ニコニコ動画
歌い出しの「きみが」ですでに最高とわかる一曲。

boku-boku/AVTechNO!

boku-boku (feat. Hatsune Miku)

boku-boku (feat. Hatsune Miku)

  • AVTechNO!
  • エレクトロニック
  • ¥150

2007年に突然始まったボカロブームで僕が一番最初に思ったことは、
ボカロならではの曲が聴きたい、高速歌唱とか合いそうだ、ということ。

予想通り、高速歌唱でアンインストールの切なさを歌う

初音ミクオリジナル曲 「初音ミクの消失(LONG VERSION)」 by cosMo VOCALOID/動画 - ニコニコ動画

という曲が人気を博していて
「ああ、うますぎる。この曲に高速歌唱というアイディアは終わったかな」
と思ったのですが、それは誤りでした。

僕が最初にこの曲を聴いた時の衝撃。
ぶっといドラムンベースの中、
初音ミクは高速歌唱で自問自答していたのです。
それはまるで混乱の中ひたすら高速で思考が回る感覚を
そのまま音楽にトレースしたようで、
こんな高速歌唱の使い方があったのか、と衝撃を受けました。

ナナナナ/テンネン

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鏡音リンのキンキンした歌声とFunk、とってもあう。
そして、この曲のすごいところはループ素材でできていること。
作曲ソフト上では、コピー&ペーストで楽チンなんですが、
ではそれでいい曲が作れるかというと全然作れません。

この曲はそのループ素材の組み合わせで、
ぴったりに合いきらない「ずれた」部分がFunk的なノリを生んでいる。

それでいて歌詞に

「どこかずれてるような 気がしてたけど」

なんていれちゃってそれをエロ方面に解釈しているという、
もはやセンスしか感じない一曲。

ローリンガール/wowaka

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この記事を書くきっかけになったwowakaさんの中でも、
とびきり大好きな一曲。
商業CD版も持っているけれど、この少し素人っぽいMIXの、
低音がスッカスカで耳に痛いドラムがなるニコニコ版が一番好きです。

wowakaさんはZAZEN BOYSの向井氏が好きで、
ある意味この曲は「透明少女」など向井氏が度々テーマとする、
少女とそのイメージにつきまとう「刹那的なイメージ」を、
性急なピアノに乗せた一曲。

wowakaさんは以下のインタビューで、 

natalie.mu

wowaka 「wowakaみたいな曲を書けばいいんだろ?」みたいな(笑)。 

とはっきり言っていますが、これはナルシズムでもなんでもなく、
本人が言いたくなるのがわかっちゃうぐらいそのままの事実です。
wowakaさんの曲はフレーズのループ、チープな電子音、
性急なミクの歌に特徴があって簡単に真似できそうと、
思わせる部分があったんですよね。

そこで、心ないフォロワー(心底好きでやってるというより、
これなら作れそう、受けそうという感覚で作ったと感じさせる曲達)を、
死ぬほど産みました。EDMブームならぬ、wowakaブーム。

でも、それらは到底オリジネイターを超えるものではない、
wowakaさんの曲にあるものが、こんなに似せてるはずなのにない。

その根底は、歌詞だったり、
この曲の持つ言いようのない焦燥感だったりするのだろうなと思います。
未だに心から離れない最高のロックソングです。

mugs/古川本舗

www.youtube.com

まだまだロックいきます。古川本舗のmugsです。

逆再生のギターを多用し、静かで美しいメロディが特徴の古川氏ですが、
この曲に関してはおそらく英語を日本語に聞かせるような方法で、
ミクのぼやけた滑舌をさらに曖昧にすることで、
不思議な浮遊感を出しています。

そしてこの曲は間奏のピアノが最高なのです。
叩きつけるようなどこか投げやりな連打が、
この曲を僕が「ロック」と分類した所以なのはわかってもらえるかと。

「一年に数回、どうしようもなく聴きたくなる、そんな曲。」

というYouTubeのコメントは僕じゃないです。あしからず。

NoLogic/ジミーサムP

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とにかく最初のギターの軽快なカッティング。
それがひたすら繰り返される、ロックのお手本のような曲。

彼の曲はとにかくメロディがポップなのですが、
この曲に関しては加えてカッティングが良すぎる上に、
ギターソロもこの上なくおしゃれで、
もうこの曲を聴いていたらおしゃれなんじゃないかと、
勘違いしそうになるぐらいに全てがポップで完璧な一曲。

最初こんなに好きになると思わなかったのですが、
気がついたら2009年から8年、今だにふと思い出して聞く一曲です。

シンプルでポップ。その偉大さがわかります。

アストロノーツ/椎名もた

アストロノーツ

アストロノーツ

  • 椎名もた
  • アニメ
  • ¥250

最後はロックバラードで締めます。
若くして亡くなってしまった椎名もた氏。

でも変にセンチメンタルにする気はありません。
とにかくこの曲を聴いてほしい。

あえてニコニコ動画版の以下のリンク

【初音ミク】アストロノーツ【オリジナル】 by 椎名もた VOCALOID/動画 - ニコニコ動画

を最初に貼らなかったのはわけがあります。
この配信版で手直しされたバージョン、
中盤がむちゃくちゃ変わっているのです。

淡々と自分の心情をこぼしていくようなこの曲、
中盤に終始淡々とした歌と対比するように、
ものすごい勢いで逆再生のギターとドラムが、
曲ぶっ壊すように鳴りはじめ、
そして、それが収まったときに淡々と弾かれるギターアルペジオ
まるで感情をそのまま音に写し取ったみたいです。

彼は、自分の心情をアコギを持って街頭で歌うよりも、
DTMの打ち込みと初音ミクで表現する、
なぜかそれがこの上なく自然に感じされるような、
稀有なタイプのシンガーソングライターでした。

ある意味、ボカロがあったから出てきた才能だと思います。
こういうことがあるから、僕はボカロが面白くてたまらなかったのです。

 

 

ボーカロイドが出てきた当初。

こんなのは歌じゃないと言われたり、
歌い手が歌ってこそ完成されると言われたり、
スッキリで理解できないと言われたり、

so-na.hatenablog.comまるで目の敵のようにいろいろ言われて、
そこからある一点をすぎて受け入れられて、
もしくはちょっと忘れられたりもして、
僕が知った頃まだミックスが下手だったハチさんは今や米津玄師として、
ボカロを知らない人も知るぐらいになって、

でも結局ここにあげた曲達を聞きなおしながら思うのです。

初音ミクが歌うのがこの世界の誰が歌うより合う曲が、確かに存在する、と。