オートマタの興奮冷めやらぬ昨今、敢えてDOD3のどこがダメだったか語ってみよう

 DRAG-ON DRAGOON 3 ★★★★☆*1

ドラッグ オン ドラグーン3 - PS3

 

はじめに

ニーアシリーズでヨコオ作品に触れた僕のような人間において、避けては通れない、そして現時点で最も触れやすいゲームであるドラッグオンドラグーンをプレイするのは必然であった。感想は数多に存在するブログやレビューとほぼ同じである。

・ストーリーが単調。後述
・ロードが長く、フリクエの周回が必要な武器コンプがとてもしんどい(ロード中にFGOの周回を行えるレベル)
・全てのステージがほぼ一本道。ドラッグオンドラグーン1や2にあった、広いステージでしらみつぶしに敵を殺す楽しみが少ない。

ただ、多くの人が不満に思っている「空中戦の一本道化」は僕は結構好きだった。酔わなくなったし、操作がシンプルに火球と回避だけになったので、爽快だった。経験値稼ぎでは積極的に空中戦を行なっていたぐらいに好き。

まあ、そんな感じで、ここを読んだ方がまとまっているだろう。

www26.atwiki.jp

これだけ今更感のある2019年なので、今書いても意味のあることだけ書こうと思う。すなわち、ストーリーの何がダメだったのかの僕なりの考察をメインに、サントラを買う際の参考になる音楽と、これから万が一やる人へのトロコン方法をサブに、語ることにする。

ストーリー:敢えて語らないのは良いが、切り出す部分が美味しくない

(この章ネタバレあり)

DOD3のストーリーは単純である。ニンジャが出て殺す。じゃないけれど、主人公のゼロが、自分を生き返らせた「花」が世界を滅ぼすことに気づき自殺をする話である。自殺の過程で自分が分裂し妹ができちゃったから、妹を皆殺しにする。

「最初にまとめて殺すのが失敗し、乗っていたドラゴンが致命傷を受けたため生まれ変わらせて、あの由比ヶ浜結衣さんの声優でもある東山奈央がCVのなんとも可愛いドラゴンが生まれる」という流れは冒頭のムービーで終わるので、ゲーム部分は「5人の妹を殺します」という部分しかない。エンディング分岐も以下となり、それほどバリエーションがない。

A:自分含めて全員殺すことができたけど、弟が残ってしまった(DOD1のマナの子孫か?)
B:自分殺せなかった上にミハイルに花が咲いた(DOD1の契約の概念)
C:自分殺せなかった上にミハイルが死んだ
D:観測者アコールの介入もあり、全員殺すことができた

AとBを混ぜるとDOD1に続きそうな感じになる。

 

DOD3ストーリーはなぜ酷評されたのか――考察してみた - てのひらに蕃境

このブログでは、ゼロの成長しなささが問題点として指摘されており、納得感がある。以下の提案などガチで面白そうだ。本人も記憶がないというのは意外性がある。

★ゼロを主人公とするには――「どろろ
 ――最強のウタヒメであるゼロは、その力と記憶のほとんどを五人の妹たちに奪われた。ゼロには妹たちを殺さなくてはならないという衝動だけが残された。ゼロは、衝動のまま妹たちを殺すべく、世界を旅し、絶望的な戦いに挑む――

しかし、しかしである。これはヨコオゲーである。そもそも、名作とされているDOD1やニーアも別に主人公が成長するかと言われるとそんなにしない。 強いて言えばレプリカントの主人公は青年になるが、カイムさんとか最初から最後まで殺人狂で成長しているようには全く見えない。オートマタの2Bもしかり。

なので、ヨコオゲーのストーリーは決して少年漫画ではなく、ましてはボーイミーツガールでもないのだ。ここは仄暗いが少年漫画メソットとの共通項が多いFateとは大きく異なる点である。

僕が考える問題点はこうである。

主人公のゼロがまともすぎる

これです。これなのです(ゼロっぽい突然の敬語)。この女の子、一見あたまのおかしい殺人狂なんですけど、実はその行為は全て目的である「世界を花の脅威から救う」のために動いており、行動指針が一切ブレない。道中の殺人だって自らが花に犯されて狂うまでに時間がないから仕方なくやっていることである。平和な世界でもやりかねないという意見はあるが少なくとも敵国の兵士殺すの大好きなカイムとは比較対象にもならない。なんならDOD2のノウェのほうが正義と騙されると人を殺しそうで危ないぐらいだ。そして、あろうことか、Dエンドではその目的を完遂してしまう。これではほぼハッピーエンドではないか。新宿に飛ばされたあの絶望はどこへ。

実はこの作品はどこかのインタビューでヨコオ氏が「セルフパロディ」「ファッション鬱」と表現しており、ある種の軽さはわざとに思える。花は生殖器だから性欲強いんじゃない? みたいな登場人物たちのドギツイ下ネタ会話*2や幼女ドラゴンミハイルなどなどのギャグ要素によって、この作品には新宿やニーアシリーズほどの鬱がない。だから僕がこの作品で鬱々とならなかったのはむしろヨコオ氏の狙い通りの結果ではないか。

しかしです。鬱はなくても「狂気」は必要。それがDODの売りだと思うのです。そしてその狂気こそが前述のゼロに足りないものです。ここで登場人物を振り返ってみます。

  • ファイブ:欲望に忠実な人。正直魅力なし。
  • ディト:腐ったものが好き。そこは確かに狂っているが中二に近い。
  • フォウ:自尊心の塊。口で言っていることと思いが真逆のタイプ。この子。
  • デカート:放置プレイが好き。まあ、いいや。
  • スリー:人間をいじって人形作り。狂人だが、ある意味普通の狂人。
  • オクタ:性豪だが、実はスリーを諌めるぐらいまとも。
  • トゥ:リア充のいい子。ド鬱エピソードでぶっ壊れる。この子。
  • セント:残念系イケメンは仮の姿で実はただ悲劇で壊れちゃっただけ。
  • ワン:頭がよく自尊心もあるけど肋骨で弟作ったりする。この子。
  • ミハイル:頭が幼女のドラゴン。
  • ガブリエル:頭がオネエ系のドラゴン。超いいやつ。

この子と書いた三人が、僕が思うにストーリーにもっともっと関わらなければならなかった、なんならゼロの代わりにプレイヤーが操作すべきだった人だと思うのです。

フォウはこの中でも最高に壊れており、口で綺麗事を言いながら綺麗事という免罪符があれば笑いながら殺人も辞さない女の子で「タスケテーアツイヨー」と叫ぶエルフを笑いながら「こいつらは悪だから殺すべきなのよ!アハハハハ」と笑う、もっともプレイしていて嫌悪感を感じるキャラであり、DODシリーズの登場人物にふさわしいと思います。B分岐はフォウ視点で良かった。

トゥはどちらかというとニーアシリーズのように「善良な一般人が世界の秘密に触れて壊れる」というエピソードが似合うタイプ。これも必要。

ワンはむしろゼロの代わりに主人公でも良かったのではないかと思うぐらいです。ゼロが妹たちを殺していくのに怒りを感じつつ、調査の途中で「実はゼロが世界を救おうとしている」ことに気づいてしまう。オネエ系ドラゴンとの信頼関係もあり正統派主人公の気質を揃えています。

DLCの要素をむしろ本編にすべきだった

というわけで、こうだったらDOD3はもっと面白かったと思うのです。

A'分岐:ワン視点。ゼロの真意に気づいてしまったワンが最後は一緒に死ぬ。
B'分岐:フォウ視点。フォウの日常がゼロに壊されるまで。
C'分岐:トゥ視点。壊れてしまったトゥがゼロに殺してもらえるまで。
D'分岐:ゼロ視点。現状のDOD3をさくっと。

そしてこれに近いコンテンツがDLC(課金コンテンツ)であることが特にいけない。正直なところDLCのほうが本編より面白いのです。本編で語られなかった秘密が明かされたから? いいえ違います。本編が歯抜けなのはそもそも本作で考察を活性化させるためヨコオ氏がやりたかったことで、それは僕も別にいい。そうではなく、こっちのほうが狂気が強くてストーリーとして美味しいのが、DLCの範疇を超えています。ファンが買うものがDLC。ショートケーキをゲームにするときにイチゴを課金制にしちゃダメ。

音楽:ニーアシリーズほど良曲揃いではないもののロック感が面白い

DRAG-ON DRAGOON 3 Original Soundtrack

DODといえばその音楽です。特に1が伝説級に頭のおかしいオーケストラサンプリングテクノで、ゲーム勢より現代音楽勢に受けそうなものに仕上がっているのですが(僕はDOD1の狂気は音楽の力が大きいと思います)今回は岡部氏率いるMONACAが担当。ロックな感じが新しいですし、ウタウタイモード中にだけ歌が入ったり、場面によって曲の開始ポイントが違う懲りようは流石ヨコオ氏のゲーム。以下の曲が特に良いです。

・空音:アコギを生かした生っぽい曲。ゲーム音楽をここまでオシャレにするか。
・防来/アルマロス:ロック。良かった頃のFFを思い出すキーボードリフがよい。歌が思いっきりフランジャーかかってるのも楽しい。
・最後の歌:藍井エイルのクロイウタのアレンジ。アコギと鉄琴メインでコード感がないことによる不協和音感が美しい。

ちなみにここでもDLCニーアレプリカントとDOD1の曲のアレンジが買えるのですが、ステージ用にアレンジされた「尽きる」が素晴らしい。原曲と違いコード感に溢れ、原曲のメロディの良さを再確認。イニシエノウタも未収録であることが勿体無いオーケストラ+歌のアレンジ。ここでも同じセリフを。なぜ本編で使わず課金制にした。

万が一これからやりたくなった人向けのトロコンのコツ

最後に音楽のDLC含めて全部買った私からトロコンのコツです。

◆ウェポンマニア:全武器Lv.4。

これはDOD3ではすなわち金稼ぎです。

【最重要】武器をコンプリートして全部Lv.4にすると常時ウタウタイモードになれる「緋色の服」が手に入ります。これが難関クエストで超有用なのでどうしてもクリアできないものがあったら「緋色の服」入手後を検討しましょう。さらに言えば、ゼロのDLCを買ってクリアすると「一年前の服」が手に入りこれもウタウタイモードの時間が長くなり「緋色の服」ほどではないがいろんなクエストが楽になります。

まずDLC買うか決めましょう。ひとつのDLCで50万ゴールド手に入ります。周回より絶対楽しいですが、リアルマネーを使うのでDLCが嫌だったら諦めて周回。
・あとは以下の動画参照。ただし、50万ゴールドは普通無理。全ゴールド兵を殺しても20万ぐらいが普通で、このプレイでは槍をうまく使って金をより多くばらまかせています。

 

◆大空の支配者:空中戦ステージでパーフェクト。

・実は後半の空中戦のほうが敵が少なくて楽。僕はD分岐六節でやった。
・マルチロックオンは使わないほうがいい。
・空中戦ウタウタイモード最強。発動時に画面内の敵を全員殺せる。緋色の服もあり。

◆チェインマスター:100チェイン。

場所選び(ボス選び)が重要。僕はD分岐四節(ガルガリエル、腐ったファイブがでてくるところ)で戦輪で大技にならないように攻撃していたら二回目で取れました。ボスの攻撃を避ける自信がない人はぜひ。

◆金は全てわたしのもの!:アコールの依頼全クリ。

鬼畜ミッションは運ゲーに近いので、最悪「緋色の服」に頼っちゃいましょう。闘技場の後半戦も同様。

 

最後に。DODと言えばこれですよこれ。これがやりたくてDOD3買ったぐらい。

最後の歌のコツ

これはクエストじゃないけれど。以下の動画とゲームプレイ時の時間を合わせたら勝ちです。完全にテレビとこの動画再生時の音が合えば最高ですが、多少ずれていてもなんとかなります。僕は鬼畜ミッションを自力でクリアすることに喜びを見出せないダメな大人なので、この動画を使って三回目にクリアしました。この動画があっても結構緊張感はあるので、おすすめです。このステージでDOD3を嫌いになった人も多いようですが、そんなに嫌になるまえに、この動画使ってクリアしようぜ。

というわけで、総合的には結構好きなゲームです。オートマタでヨコオ信者になったあなたもぜひ。

*1:DLC含む。含まない場合★一つ減ります

*2:僕はこれは当時のオタクに蔓延してた処女信仰へのヨコオ氏のあてつけだと思っているので、もっとやってほしいとすら思う