2019年 VTuber 動画10選

「どうしようもなく、今を生きてる」

そんな新しい生き方、リアクションに必要な顔をあえて出さずに、キャラクターと融合してライブをするバーチャルライバー達の2019年の動画10選です。

 

技術・企画・歌と三拍子揃った脱サラ系 VTuber の天才姉妹


【モニタリング】人はジャンケンに勝ち続けたらどうなるの?

最初はおめシス。オタク感や内輪感が薄くテーマが分かりやすいため、はじめての人に勧めやすく、その上で彼女らより「バーチャル」を生かした「YouTuber」を真摯にやってる人はなかなか見つからないという意味で、終着点でもある。

紹介する動画は手をモーションキャプチャで動かすという環境を逆手にとって「ジャンケンでかならず勝てるように」プログラムすることで相方にドッキリをするという、素晴らしい発想力と技術力が必要な企画である。週4の投稿頻度を守りながらこんな技術系企画をさらりと挟んでくるのは驚愕の一言。どう考えても技術系の会社で戦える。正直、弊社に欲しい。

これ以外にも・・・


大接戦!ボウリングを縦向きでやったら楽しすぎた!!


【世界創生】VRジャングルクルーズ選手権!!!【前編】

などなど発想力とそれを実現する技術力に驚嘆することしきりである。なお技術系以外も、リアルロケ、YouTube 仕様紹介、ゲーム実況、ぶっ飛んだ(いろんな意味で)生放送などしっかり YouTuber らしい企画もしていて見ていて飽きない。

なお、最近の動画で一番再生されているのは紅白でも圧倒的な存在感を見せた King Gnu の「白日」のカバーである。本来追記で紹介するべきではないクオリティのリオちゃんの低音が映えるガチでよいカバーである。えっ、歌系 YouTuber だったの!? こんなに色々できるのに、歌も上手いとか、もはやずるい。


白日 / King Gnu by おめがシスターズ

ソロで脚本構成演出主演をこなす一人企業 VTuber


【本物の月ノ美兎に投票しろ!】

僕を VTuber 沼に引き込んだ元凶であり、彼女を知る誰もが天才と口を揃えるインターネットの申し子。個人的には VTuber 界のレディオヘッド。マニアックなもの含めて流行りのいろいろな要素を取り込んで、自分なりに消化して吐き出し、動画ごとにいろんな側面を見せながらも、共通して感じる「尖った」感性。アーティストオブアーティスト(同業者に注目される)なところも。

紹介する動画は、多重録音を用意した上で、生放送で自分の声を重ねて、視聴者にどれが録画でどれが本物かリアルタイムで投票させ、その結果で用意した結末を変えるという恐ろしい企画。脚本力と演技力、さらには演出や構成まで一人でやってしまうなんてもはや一人TV。しかもこれライブ。この企画で Zepp 埋められるよ。

残念ながらリアルタイム投票の結果、本人は「目線」でばれてしまったが、そんなハプニング含めた不確定要素を計算して「ライブ配信」でこれを行う彼女のパワーには舌を巻く。加えて、もし本人以外に投票が集まったら、あなた達が選んだんだから、本物は(録画の)私よ、と録画でしかなし得ない逆再生音声で語るバッドエンドまで用意していたとか。詳しくは本人の note を見て欲しい。

このエンターテイメントの中で「VTuber における本物とは何か?」という2019年を賑わした本質的な問いにまで触れてしまうところに彼女の恐ろしさがある。

これ以外にも、

・彼氏(ボイチェンした自分)との掛け合い一人芝居


にじさんじ初・彼氏持ちVtuber配信

・長尺配信でありながら、VTuber の魂に言及する大筋を用意して展開の妙で魅せる(眠い目をこすりながら聞いていた僕らの目を覚ます衝撃だった)を与えた百物語


百個怖い話言うまで帰れない放送2019【前半】 


百個怖い話言うまで帰れない放送2019【後半】

・・・と、2019年の彼女は見所ばかりでとどまるところを知らなかった。歴史に名を残す事が夢と語っていたがもうすでに達成してしまった彼女が2020年にどこに向かうのかの興味は尽きない。

インターネット老人会代表 ケモミミ美少女


クリスマス?なにそれ?お焚き上げ?【#白上お焚き上げ】

天才を二人紹介したところで、少し癒し系の動画を紹介したい。本動画は、前述の委員長とNHKバーチャル紅白歌合戦の副音声を立派につとめあげた、白上フブキさんが、クリスマスの切ないエピソードをただ淡々と読んで、ぽそっと感想を読んで、燃やしていくというそれだけのシュールな動画である。

この動画はインターネットの黎明期を思い起こさせる。「リア充」もとっくに死語になった昨今ではあるが、寂しいぼっちクリスマスを過ごす人たちの数は変わらない。むしろ増えているかもしれない。

白上フブキさんは使い古された「リア充氏ね」コンテンツを可愛らしく再解釈した。人間の本質は変わらないし、ぼっちクリスマスの寂しさも変わらないが、今は可愛い猫耳少女が優しく負の気持ちを受け止めてくれるようになったのだ(あ、狐でしたね、すいません)。

普段賑やかなフブキさんも終始テンションが低く、そのおかげで YouTuber 独特の賑やかなノリが苦手な人も聞きやすい動画になっている、と思う。どうだろう。

VTuber には適合者がいる、と思う。最低限の、目と口と距離しかトレースできないスマホアプリでありながら、やたら感情表現が豊かな人たちがいる。フブキさんもその類で、カメラに近づいたり離れたりしてディスプレイの範囲で賑やかに動き回る姿はとてもかわいらしく、新しい需要が人間に新しいステータス「V適性」を生んでいるということを実感する。もしかしたら、ルックスもそこそこで勉強も運動もできない誰かは、V適性に優れている誰かなのかもしれないですよ、お母さん。

新進気鋭の女子高生ロックシンガー誕生ドキュメント


【#マリカにじさんじ杯】アロハ帰りのマハデロちゃん、爆走回【予選Fリーグ】

VTuber初音ミク文化というかニコニコ動画文化と地続きなので、歌とも関わりが深い。まあこれはどちらかというと「初音ミク」ではなく「歌ってみた」文化にアバターがついたという解釈が一番近いと思う。樋口楓は前述の月ノ美兎にじさんじの同期であり、歌が上手いことをフューチャーされた VTuber である。

VTuber の新しさも手伝ってさっさと多くのアーティストの登竜門である Zepp 単独公演を達成してしまった彼女は、当時こそ「歌は上手いけれどこのレベルでZeppOsakaBayside だと?」なんて声も聞こえていたのだが、ぐんぐん歌が上手くなりさらにライブ煽りまで板についてきて、ついにアニメ系レーベル大手ランティスからメジャーデビューを決めている。2019年は LiSA が紅白に出たが、ロックが似合う女性シンガーというのはありそうでいなくて、結構貴重なのである。

それはそれとして今回紹介するのはそんな彼女が大規模マリカイベントに参加した時のものだ。マリカは下手くそな彼女はアイテム運に左右されやすい「ベビィパーク」というステージを愛し「私の前にたつなあ!」「Don't Stop!」などロックシンガーらしくこぶしを効かせた暴言を吐きまくって配信していており、見ていて非常にスカッとして面白い。ヤンキーじゃね、という気持ちはしまっておこう。

動画内で彼女はライブについて言及している。

「マリカとライブは同じだ。ライブは何度も練習できないからイメージトレーニングが必要なんだ。この曲のここでこうやって言ったらみんなが盛り上がってくれるはずだ」

ようはマリオカートの練習が少ないことの言い訳なのだが、早々に Zepp を埋めたシンデレラの気持ちが配信を通してそのまま届くのはとても興味深い。


樋口楓1stライブ「KANA-DERO」ライブ映像特別公開!『響鳴』

1年前までただの素人の女子高生が、今こんなことしてるってスゲーな……。

irori rorin

これは彼女のライブ紹介動画のトップのコメントだ。「本当に彼女は素人なのか? 実はずっと準備をしていたアーティストの卵では?」昔ならそう言われていたかもしれないが、このコメントが正しいことは彼女のチャンネルを追っている人ならばわかるだろう。以下の動画では、VTuber をやめるか悩んでいたことすら示唆している。


楓と美兎 ~休日編~ -後編-

紅白の「カイト」の紹介ドキュメンタリーで米津玄師と嵐が飲みに行ったと言っていたが、僕らのやりたいことは言うなれば、隣の席でそれを聞きたいに他ならないと思う。それに近いものがここにはある。樋口楓さんのチャンネルそのものが、新生女性ロックシンガーの日常のドキュメンタリーなのである。なんて贅沢な時代だろう。

ライブ配信でドラマを引き寄せるバーチャルイキリ陰キャラパンダ


【視聴者参加型】マリカ8DX1位とれるまで終わりまてん~!笹木咲/にじさんじ】

2019年は動画勢(編集した動画を投稿することをメインに活動)<ライブ勢(ライブ配信メインで活動)という明確な関係性が生まれた時代である。僕はこの動きを「TVがなくなって世帯のつながりが希薄になった世代の新しい寂しさの埋め方がライブ配信に参加することだったから」だと思っている。数ある VTuber 事務所の中で「にじさんじ」が最も成功したのは「ライバー」が主体ということも大きい。ライバーってなんか、かっこいいな。

そんなライブ配信での鉄板コンテンツは「○○ができるまで終わりません」だ。「テトリス99で一位になるまで」「マリカで一位になるまで」などなど。なぜこれが面白いかといえば、有名ライバーがライブ配信で行うことで「やたら強い人」を呼び寄せてしまい条件がむちゃくちゃ厳しくなるから、である。

この六時間動画は見所だらけなのだが、そもそも笹木咲(ささきさく)は前述のマリオカート杯3位の実力者である。それが六時間一位を取れなかったというだけで壮絶な企画であったことがわかるだろう。一番の見所は、途中で起こった忖度である。

なんとか三時間強で一位をとった彼女だが「忖度では?」という疑惑が起こる。そこでマリオカートの機能「リプレイ」を使って検証するのだが、検証を何度も行なった結果「二位になったキャラクターがゴール前でアクセルを踏まずに止まっている」ということが確定した際の彼女の失意の叫びは(申し訳ないが)最高に面白い。強がり悔しがりイキる笹木咲の姿はなぜか分からないが本当に映える。これも才能である。

昔僕らは友達の家でゲームをやっていた。時々その中でも、面白いことが連続で起こる「神回」があったと思うが、それを無限に閲覧するばかりか、参加までできるなんてすごい。やはり贅沢な時代である。

企画の妙。テトリス好きくノ一お姉ちゃんはテトリスの神を金で倒す


🔴【検証】テトリスの神は金の力で倒せるのか?

2019年で企画といえば彼女「朝ノ姉妹プロジェクト」さんである。彼女は声優の仕事をすでに行なっているプロであり、さらなる高みを目指して VTuber を行う選択肢を選んだ。そうしたら新しい才能が開花してしまっている。

この配信には文脈の説明が必要なのだが、まず、テトリス全世界一位と自称するあめみやたいようさんは YouTuber を長くやっている。彼のルールは「スーパーチャット(投げ銭)をテトリスをプレイしながら読み上げる」というものである。テトリス中にコメントを読めるし、なんなら読みながらでも勝てる、という言うなれば魅せプレイであり、リスナーも必ず読んでもらえる嬉しさがあって Win-Win だ。

それを逆手に取った彼女の企画趣旨は「手元に五万円用意してそれで何度もスーパーチャットをすることで彼を邪魔して一位から引きずり下ろす」というものである。

これをライブ配信で行うことで非常に面白い化学反応が起きた。

もともとあめみやさんの配信に来るリスナーたちがそれに便乗してむちゃくちゃチャットを投げ始めたのである。彼はそれを必死に読み、読みながらテトリスをするが流石に余裕がなくなってくる。余裕がなくなりミスも増える中で、それでも必死に一位を守り続けた彼がついにちょうど一時間程度経過後に、二位に甘んじる瞬間はまさに脚本通りの山場と言っていい。

あめみやさんは「対戦」に特化しているプレイヤーであり、状況判断がむちゃくちゃうまく、テトリスの通常対戦ならいざ知らず、戦略の要素があるテトリス99でうろたえることや苦戦を強いられることはほとんどないのに、それを引き出したのは大きい。演者に過酷な条件を課すのはその人の新たな側面が見たいからなのだ。動画終了前にさすが声優業といえる声が綺麗な朝ノ瑠璃姉さんにちょっと緊張した感じで受け答えをするあめみやさんもまた彼の新しい一面である。


🔴1位取るまで終われないテトリス99

ちなみにそんな二人をつなげた企画はこれである。驚愕の11時間。馬犬さんというビックゲストまで呼び寄せた伝説の企画であり、終われなかったのは端的に言えばこっそりあめみやさんが参加していたからである。世界一が相手で終われるわけがない。

朝も昼も夜も風呂でも麻雀。女子力皆無なのに声が可愛い根っからの配信者 


【麻雀】裏ドラRTA - 裏ドラって何ですか? - 【アイドル部】

2019年と言えば VTuber 業界が荒れた年でもあった。大人気のゲーム部は魂(声優)交代で低評価が走り、トップを走るキズナアイも同じアバターで別の人格をたくさんインストールしたことで物議を醸し、VTuber 四天王は動画勢が多かった故に力を失っていった。企業が VTuber をコントロールすることは本当に難しい。

そんな中で彼女に触れないわけにはいかない。夜桜たまは電脳少女シロの後輩である「アイドル部」として生を受け、あまりにわかりやすくぶっ飛んだ人材であることでたくさんのファンを獲得していった。いきなり四画面で同時に麻雀をしたり、あまりに女子力の欠けた発言をしたり(マカロンって、砂糖だよね?)、不思議と泣き虫だったり。それなのに声が落ち着いていてとても可愛い。

特に麻雀という要素は群雄割拠の VTuber たちの中でも彼女の強烈なオリジナリティとして機能し(麻雀をやる人は多いが、朝昼夜+風呂にスマホを持ちこんでまでやる人はそうそういない)、ついには麻雀のプロ達にラブコールを受けるに至った。それはそうだ、彼女の麻雀配信、プロでも稼げないほどの視聴者数を獲得している。彼女の出した麻雀初心者向け解説本は麻雀本では異例の Amazon ランク一位を獲得した。

この動画はそんな彼女の不思議な特徴(なぜか裏ドラが乗らない)を生かしたタイムアタック企画で、裏ドラの前にさっさと役満をあがるという衝撃の展開でツイッタートレンド入りした。麻雀がツイッタートレンドになる程話題になることはそうそうない。

そんな彼女は、内部告発のような動画を出して最終的には事務所と袂を分かつことになった。もともと評判が良くなかった事務所だったので、盤面は荒れに荒れ「12人の絆」を特徴にしていたアイドル部の順風満帆な流れを断ってしまった。

彼女が正しかったのか、会社が正しかったのか、それに答えを出す情報を僕が観測することは不可能なので興味はない。

小学校三年生から何らかの形で配信していたという噂のある彼女は、たとえ事務所がなくなっても新しい場で配信するだろう(もうすでに新しい名前の彼女の動画が観測されている)。雀プロとのコネクションもある彼女がこのまま沈黙するわけもない。VTuber の事務所は、ひいてはこれからの企業は、このような「個人」が生きるように運営方針を考えなければならない。一企業人として、難しい時代になったなと思いつつ、一ファンとして芸能界の「のん」みたく潰されずに本当によかったなと思う。

四天王として唯一勢いを維持する属性過多で魅力の底が見えない電脳少女


超絶怒涛の高速実況!シロもなに言ってるのか自分でも分からないよ!【Trials Rising#3】

そんな母体となる会社の騒動がありながらも、電脳少女シロだけは勢いを止めずに活躍の場を広げていった。彼女の魅力を一言で説明することは難しい。キズナアイのような一番乗りのオリジネイターでもなければ、輝夜月ほどインパクトもなく、のじゃロリのようにバ美肉(ようは女性アバターで中の人が男)でもない。

そんな一言で説明できない彼女の魅力の一端がわかるのがこの動画である。この動画は彼女はとにかくよく喋る。その声は普段の萌え声から、うまくいかなかった時に出す野太い声、アイドルっぽい甘え声、大人のお姉さんの声と驚愕の四種類。

それでいてとにかく喋る。突然「勝手に自転車の補助輪を外して『ほら走れていたでしょ』というのは何を信じたらいいかわからなくなる」という持論を展開したり、試行錯誤を続ける自分を自分で褒めたり、銀杏拾いに触れたりと無茶苦茶である。無茶苦茶であるがゆえに勢いが無茶苦茶面白い。正直この動画の再生数は一桁足りない。

今年も電脳少女シロを見る機会が多かった。ガリベンガーのように地上波レギュラーでバイきんぐの小峠さんと絡む姿も見慣れたものだし、大抵のイベントには彼女が呼ばれている。バーチャル紅白歌合戦ではオリジナル曲ではなく、歌を「大人のお姉さん声」で歌うという意外性も見せた。

そもそもキズナアイですら三人で回しているのに、地上波レギュラーやライブイベントも山盛りの彼女が、未だに一人で毎日動画を投稿している真面目さは異常である(それでいてポケモンの動画がガチ勢風であるのもおかしい、いつプレイしてるの?)。異常さは彼女の過剰さとなり、彼女の魅力になっている。一年間追いかけていてもそれぐらいしかわからない。電脳少女シロはもしかしたら本物の AI なのかもしれない。


#バーチャル清楚杯 2019【電脳少女シロ/富士葵/月ノ美兎/燦鳥ノム】

コラボ動画ではこれがオススメ。彼女にマイクを渡すと必ずノリが「電脳少女シロ」のものに上書きされる。尖ったことばかりいっているようでコラボ動画では調和を意識していることが明らかな月ノ美兎と対照的である。彼女らが惹かれ合う理由もここにあるのかもしれない。

アーティスト系最高峰・関係性が尊いことが動画に現れる二人


【過去最難関】「はい」と言ってはいけないゲームで大パニック!?

今回の紹介ではあえて音楽系の動画は紹介していないのだが、紹介したとしたら確実に入るのは花譜とこのヒメヒナである(花譜は普通に2019年音楽10選に入るので安心してほしい)。彼女ら、とても歌が上手く、その上二人の声質が非常にバランスよくハモリは綺麗で、そしてダンスも上手い。その上手いダンスをトラッキングする技術も一流で、髪の毛のフワフワ感も彼女らが最強だと思う。ヒメヒナのバックに超巨大企業がいるという噂は聞かないのだが、ある意味一番資金力を感じるのは彼女らである。もしこれが卓越した技術力と少数精鋭のスタッフによって成されているものであれば、企業は猛省しなければならない。

そんな彼女らは二人であることを生かして動画も面白い。特に田中ヒメの真面目で優しいキャラクター、邪気のないキャラクターが、天然の鈴木ヒナと噛み合うことで非常に笑える、かつ、心優しい気持ちになれる動画が多い。

今年一番それを感じたのがこの動画で「はい」と言えないというルールでシミュレーションした企業面接、鈴木ヒナの誘導にすべて引っかかり「はい」を連発してしまう田中ヒメが本当に可愛い。きっとこの子、素晴らしくいい子であり近所のおばあちゃんとかから大人気だと思う(たとえ話です)。

流石にアーティストとしての動画が主要コンテンツなので企画は他の YouTuber などを参考にしたものが多いが、二人の人柄と信頼関係によってこの二人だけの動画に昇華している。この二人の音楽は VTuber の存在を問うような非常にシリアスなモノなのだが、この二人の信頼が動画で見えているからこそ、その説得力を増していると思う。

最後に勝つのは優しさ。優しい切り抜きは Virtual Liver と Win-Win である


切り抜かれるの読みで自らネタを提供してくれる本間ひまわり

最後に少し変わり種を紹介したい。前述した通り、今は体験の共有が容易で生のハプニングが起こるライブ配信勢が強い。しかし反面、長い。僕は決して沼というほど VTuber を追っていないと思うが、それでもすでに好きな人が多すぎて全員の配信を後から見ることもままならない状態である。このままでは生活を犠牲にするしかない。生活は大事である。

というときに必要なのがこの切り抜きである。誰かが見所を切り抜いていい感じの時間で動画を紹介してくれる。それによって「この人面白いかも」と期待したリスナーが生放送に参加する。ハマる。推しができる。

この流れになれば切り抜かれた側も嬉しい。切り抜いた人は推している人を広められるし、切り抜きが丁寧なら褒められるし、再生数で自尊心を満たすこともできるだろう。「切り貼りでも繋いだら立派・ミュージック」なのだ。Win-Win の関係であり、これもインターネットのテキストから動画への移行を加速させる要素かもしれない。もちろん、マナーは必要だが。

それを強く自覚しており「切り抜きからきました」という言葉に切り抜かれるならと進んでネタを提供するのがこの本間ひまわりさんである。優しい。殺伐としたインターネットでは平和が尊ばれる。本間ひまわりさん人間性の平和さは、殺伐としたインターネットに優しさをもたらしている。今は優しさが貴重な時代なのかもしれない。

 

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なお、この紹介動画の最後にヒメヒナと本間ひまわりの紹介を持ってきたのも僕の優しさである。優しさに包まれながらきっと目に映る全ての動画はメッセージ。今年も VTuber を楽しく追っていけるといい。皆さんも是非。