SONIC MANIA 25’

きくお

ボーカロイドのライブって、アニソン系の文脈で解釈されてるところもあって大体「ロックアレンジ」で演奏されるんですけど、ボカロの歌の楽器と人の中間みたいな響きはむしろ電子音楽と親和するでしょと一生思っていて、きくおさんのステージはその気持ちに応えてくれるものでした。サマソニ勢に合わせてかなりガチなテクノステージだったので、畳み掛ける電子音の波が気持ちよかったです。まあ一番盛り上がったのは「僕はできない子」でしっかり歌モノなんですが、そこはご愛嬌というところで。

なお、Perfumeきゃりーぱみゅぱみゅのせいかもしれませんがおしゃれで格好いいorかわいい客ばかりでビビりました。きくおさんの鬱は意外とおしゃれで格好いい人orかわいいにも刺さるものなのかもしれない。人類総メンヘラ時代。

 

Perfume

ZAZEN BOYSとの対バンも記憶に新しい、と思ったらなんかポテトサラダのカバーしてました。前にサマソニで見た時はウルトラソウルだった気がするけど、相変わらず謎の親しみやすさ。

とは言え、ステージとダンスはキレッキレで決めていく姿はまさにカッコよくてオシャレな理想のアイドル、見るの4回目だと思いますが、ずっと一線にいて革新であり続けている彼女らがどれだけ時代の先を進んでいたのかと思うと胸が熱くなります。もはやテレビやYouTube含めると何度見たかわからないポリリズムのダンスを見ながら、とんでもなくかっこいいなと今でも思います。なんなら、TikTok時代の今発表されてもバズりそう。やはり中田ヤスタカはすごい。

 

きゃりーぱみゅぱみゅ

ファッションモンスターとにんじゃりばんばんだけで優勝できるなと思いました。Perfumeに続いてやはり中田ヤスタカはすごいんですが、きゃりーぱみゅぱみゅはなんかヤスタカプロデュース勢の中でも特に本人に強い個性があるなと。前に見た時も思ったけど、かなり歌が上手い。

なんかあの頃は良かったなというノスタルジーすら感じそうになったけれど、冷静に考えるとそんなに古くない。まあそれぐらい時代を切り取っていたんだろうな、ということで。

 

floating points

正直全然知らなかったんですけど、なんとなく大物感があるのできゃりーぱみゅぱみゅを途中で切り上げてきたんですが、EDMの超わかりやすい構成が流行ったのも今は昔、ダンスミュージックはこんなに真逆の、純粋な方向に行ってたんですね。僕もリフと言われるぐらいのメロディは欲しい人なので、僕の分かるギリギリのラインの純電子音楽LFOのつまみいじり倒してるみたいな音の質感がAphex Twinに似てるなあと思ったりしながら、ゆらゆら踊るのがとても合うテクノでした。

そんで友達の家にきて帰るぐらいのノリで宇多田ヒカルさんが歌って帰っていきました。死ぬほどびびった。そう言えば曲提供してたと後から気づいたという。流石である、floating pointsと友達の日本人ってなかなかいない。

椎名林檎が過剰演出な完璧なステージングでKing Gnuのライブに客演し怒号のような歓声が上がったのと対照的に、彼女は本当にナチュラルで飾らない。本当にこの対照的な才能が同年代に並んだのは、幸せな奇跡の一つですね。

 

prodigy

頭から人が降ってきてメガネが割れた思い出が強いプロデイジーだが、キースの訃報から立ち直ってなんならアルバムぐらいドロップしそうなぐらいのエネルギッシュなライブだった。過去の名曲たちもたっぷりのイントロだったりリミックスだったりで過去と一味違う鳴らし方に聞こえる。円熟を拒否し、新たなステージに向かおうとする事が伝わってくる、エネルギッシュな素晴らしいライブだった。

 

Gesaffelstein

 floating points の流れで今をときめくテクノを感じたくて参戦。確かに顔を銀色に塗りたくったスーツ姿で立ち尽くす絵面はダフトパンクを思わせるが、音楽は全然違う。頑なにメロディを鳴らすことを拒否し、高音域と低音域に偏った音像はとんでもない音圧で耳がいかれそう。EDMはいずれ廃れるとは思っていたが、その辺と比べてあまりにダンスのトレンド変わりすぎでは?と思った。ちなみにここまでストイックだとちょっと僕はわからない。コード感かリフは欲しい。

ある種の宗教音楽にも近い感じはする。照明で扉が開くみたいな演出は音とバッチリマッチしていて、そこは少しわかった。かっこいい。