よつばと! 5/あずまきよひこ

よつばと! (5) (電撃コミックス (C102-5))
というわけで、よつばと!待望の新刊。帯には「おわらない夏のおわり」とある。よつばの満面の笑み・・・なのに、どこか切ない。そんな夏の風景。もうこの表紙だけで、思いっきり心をつかまれませんか?


今巻も本当に面白かったです。何にも起こってないただの日常があるだけなのに、ほほえましい気持ちや、自分の体験にうまくかぶさって懐かしくなる・・・といった癒し要素だけじゃなくて。会話や雰囲気でしっかり笑わせてくれます。


そのうえ、その笑いどころでのよつばの行動がとても自然。あずまさんの近くにはこういう子供がいるのかな。不条理な行動なのにどこかリアリティがある。僕は特に「よつばとダンボー」のときの、みうらちゃんの適当さとか、みんなで海に行くときのノリとかが好き。海に行くときのテンションって、きっとこんな感じだよね。登場人物みんなの気持ちが純粋で、うれしくなる。あ、そうそう「♪ぼーくらはみんなー いーきていーるー いきーているから つらいんだー」というよつばちゃんの替え歌、これから僕のテーマソングにします(笑)。


もう本当は、こんな冷静な言葉で語りたくないです。なんか偉そうな自分の物言いがちょっと嫌・・・ただ僕は、この本を読んであったかい気持ちになって、それでいて思いっきり顔がにやけるくらい笑って、心が透き通っていく気がした。それだけです。皆さんもぜひ読んでそんな気持ちを味わってみてください。







ここからは蛇足。


ところで、漫画のクロスレビューをやっているサイトを前に見つけたんです。クロスレビューとは、一つの漫画に対して4人ぐらいで点数をつけて評価しあうもの(ファミ通なんかがよくやってる)なんですけどね。しかしそこで、「あずまんが大王」の評価が非常に低いことに僕は憤りを覚えました。「オチがなく四コマとして成立していない」とかいってた人には「貴方は行間をちゃんと読んで、間を感じたのか?流し読みして言ってるだけじゃないのか。」とかいいたくなるし、「萌え漫画の先駆者」みたいな言い方をされると、もう先入観だけで書いてて、内容読んでないんじゃないかって思える。こういう先入観を持つ人達が「あ、これあの萌え漫画描いてたあずまきよひこの新作だよ。どうせまたこれも萌え系だって。」とかいうようにして、この漫画を手に取らない人を増やしてると思うと、いらいらします。


思い入れすぎですかね。そうかもしれません。実際僕がこんなこと言わなくても、実際この本は本屋で山積みになっている超人気作だし、そのクロスレビューサイトの人だけが、誤解してるのかもしれない。でも、それでもそのサイトを読んでしまって誤解してる人が一人でもいたら、嫌だと思ってこんなことを書いてしまう。それくらいこの漫画を僕は好きなのですよ。


よく考えてみて。誰を非難するでもなく、下ネタも使わず、笑わせることがどれだけ難しいか。そしてそれを難なくやっている作品がここにあるということも。